【高校野球神奈川大会】川崎工科ナインら消毒スタンド自作 コロナ感染防止へ、全11球場に設置

球場内に設置する消毒器具(中央)を独自で製作した川崎工科高野球部=同高

 「消毒はセルフで」─。新型コロナウイルスの影響下で10日に開幕した全国高校野球選手権神奈川大会。球場内の感染防止に貢献しようと、川崎工科の野球部員がペダル式のアルコール消毒スタンドを独自に製作した。主将の外崎雄暉(3年)は「ものづくりの力で人の役に立ててうれしい。試合で『あの時の川工だ』と応援もしてもらえれば」と話している。

 手を使わず足でペダルを踏むと、上部のポンプと連動してアルコール消毒液が勢いよく出る。木材を組み合わせて作った消毒スタンドは、同校電気科の教員が学校説明会のために2台作ったのが始まりという。

 昨夏の代替大会に続き、神奈川大会は感染防止のため球場補助の生徒を置かずに運営する。県高野連の理事も務める渡辺陽介監督(39)は「セルフで消毒作業ができれば人員不足の改善につながる」として、野球部を挙げて取り組んだ。

 学校から設計図を譲り受け、部員34人が5月から約1カ月半かけて20台を製作。外野手の寺地翼(3年)は「木材の寸法や切る作業で全員がミリ単位にこだわった」と話す。消毒スタンドは、神奈川大会で使用される全11会場に設置される。

 東京五輪の日本代表に選出されたOBの青柳晃洋(阪神)に刺激を受ける川崎工科ナイン。外崎は「今年の強みはつなぐ打撃。先輩の活躍を誇りに川工の伝統をつなぎたい」と、ベスト8を目標にグラウンド内でも主役を目指す。

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