「奄美・沖縄」は世界の宝 「守る覚悟を」 未来へつなぐ道探る 世界自然遺産シンポ

シンポジウムで奄美大島の魅力を語る常田守さん=10日、奄美市名瀬の南日本新聞奄美総局

 「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の世界自然遺産登録に向け、南日本新聞社と琉球新報社(那覇市)は10日、シンポジウム「奄美・琉球世界自然遺産へ~魅力と未来を語る」をオンラインで開いた。候補地である4地域の在住者が島の魅力や課題を語り合い、宝を未来へ継承する方策を探った。

 出席者は奄美大島が自然写真家の常田守氏、徳之島がNPO法人徳之島虹の会の美延睦美氏、沖縄島北部がNPO法人やんばる・地域活性サポートセンターの比嘉明男氏、西表島が西表島エコツーリズム協会の徳岡春美氏。 

 常田氏は希少種が多くすむ生物多様性の価値を説明。「自然遺産への推薦は、住民の意識を開発から保護に向ける契機になった」と強調した。美延氏はアマミノクロウサギの交通事故や野生化した猫に捕食される問題を指摘し「住民の自然への関心がまだ低い。世界の宝として継承する自覚が必要」と訴えた。

 比嘉氏はヤンバルクイナ保護のため猫の適正飼養条例をいち早く導入した成功例に触れ「密猟対策も規制の後ろ盾があった方がいい」と述べた。徳岡氏は観光ガイドによるエリアごとの案内ルールづくりなどを紹介。「ルールだけでなく、自然を守るという観光客、住民の意識醸成が重要」と語った。

 1993年に世界自然遺産に登録された屋久島から「屋久島を守る会」初代代表の兵頭昌明氏が出席した。登録後のプラス面について「子どもたちが誇りを持てるようになった」と話した。

 シンポジウムの録画動画は、南日本新聞社のユーチューブチャンネルで視聴できる。

NPO法人徳之島虹の会事務局長 美延睦美さん=10日、伊仙町
オンラインで行われた世界自然遺産のシンポジウム=10日、奄美市名瀬の南日本新聞奄美総局

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