「もしキャンプ中に被災したら?」事前に準備すべきことや災害時の持ち出しアイテムを紹介

小学校時代、先生から「家に帰るまでが遠足」と言わたものですが、キャンプもまた然り。「家に帰るまでがキャンプです!」 キャンプを安全に楽しみ、無事に家に帰るためにも、「もしもキャンプ中に被災したら?」と仮説を立て、もう一度災害や安全について考えてみましょう。今回はキャンプ中に被災したことを想定し、事前に準備すべきことや災害時の持ち出しアイテムを紹介します。

キャンプ中に被災する仮定を立てる 災害はいつ目の前にやってくるかわからない

(筆者撮影)

購入しようと思っているキャンプギアを選ぶ時、少し値が張るものだった場合「万が一被災した時にも使えるし……!」という大義名分で購入に至った経験、ありませんか?

私は割とその手を使ってギアを購入しているのですが(笑)、新しいギアを購入するとキャンプに行って実際に使ってみたくなるのがキャンパーの性!ワクワクする気持ちを抱えながら、どこのキャンプ場に行こうか考えている時間は本当に幸せな時間です。

ただ、私は最近このキャンプ場選びにひとつの作業を追加しました。

それは、行きたいと思うキャンプ場の周辺の避難所を見つけておくことです。

事前に調べておきたいこと・決めておきたいこと

(筆者撮影/スクリーンショット)

この画像は、私がキャンプ前に確認したキャンプ場から避難所の場所の地図です

行く先によって、どんな災害が想定できるのか変わってきます。土砂崩れなのか、津波なのか、噴火なのか、集中豪雨なのか。またその災害が起きてしまった場合、どこに逃げるのか

これらを事前に調べておくことを、キャンプ前の作業に加えてみませんか?

【キャンプ場を決める際に+αで調べてみよう!】

  • どんな災害が想定できるか?
  • 災害が起こった場合どこに逃げるか?

そして、キャンプ場で被災した時に何を持って逃げるのかも考えておくとさらに安心です。

その場で「あれを持って~これを持って~」と冷静に考え判断するのは難しいでしょう。持って逃げるギアを常に持ち出しやすい場所に置いておくことも想定しておいてください。

【キャンプ場を決めたら+αで決めておこう!】

  • どのギア(荷物)を持って逃げるか?
  • 自分のサイトの中で荷物を持ち出しやすい場所は?

記事の後半では、筆者がおすすめする被災時の持ち出しアイテムをご紹介しています!

災害の種類別に事前対策・対応方法を考える

ここからは、実際にキャンプで被災した場合の事前対策や対応方法を考えてみました。

集中豪雨の場合

  • 気象庁のホームページ・市区町村の防災課で情報を得る
  • 今後の雨量や過去の大雨災害の有無、土砂災害警戒情報を確認する
  • 撤収できる時間的猶予があれば速やかに撤収する
  • 撤収できない場合はまずは命を守る行動をる

一番最初にすべきことは、気象庁のホームページやハザードマップポータルサイト、キャンプ場のある市区町村の砂防課・防災課などのホームページで正確な情報を得ることです。

スマートフォンや携帯ラジオの電波が入らない場合、管理棟に赴いて今後の雨量や過去の大雨被害の有無、土砂災害警戒情報などを確認してみましょう。

危険だと判断した場合、撤収する時間の猶予がある場合は速やかに撤収しましょう。土砂災害警戒情報が出て撤収する時間さえもない場合は、キャンプサイトはそのままにして、命を守る行動を最優先に取りましょう

豪雨の場合、河川の氾濫に意識が行きがちですが、山間部のキャンプ場であれば山からの落石や土砂崩れの可能性もあります。車での避難が難しい状況であれば、車を諦める判断も必要になります

筆者撮影

キャンプの時は、雲行きが怪しくなったら小まめに気象情報を確認する習慣を身につけておきましょう。

▼雨キャンプの記事はこちらにも▼

落雷の場合

  • 車や管理棟に避難する

雷の場合、車でのキャンプであればまず車に避難しましょう。

キャンプ場には木々が多かったり避雷針が未設置な場所も多く、落雷の可能性があります。また、ひらけたキャンプ場の場合はテントやタープに落雷しやすくなります。

雷鳴が聞こえたら近くにあるトイレや炊事場などに避難したくなると思いますが、炊事場やトイレなどがトタン屋根だった場合、柱から側撃雷が発生する可能性もあります。

その点、車であれば雷が落ちてもボディを通って地面に落ちるので安全です。車がない場合は、管理棟などの頑丈な建物に避難してください。

地震(津波)の場合

  • 頭や体を守る行動を取る
  • 余震に注意し、できるだけ情報を得る
  • 海が近い場合は津波の情報をチェックし高台へ避難する

大きな地震が起きた場合は、周囲にあるテントやタープが倒れてポールが頭に直撃する可能性もありますし、キャンプサイトの周りの木が倒れてくる可能性もゼロではありません。大きな地震を感じたら、頭や体を中身の詰まった荷物で庇うなどして、まずは身を守る行動を取ってください

揺れが完全に止まったら、スマホやラジオが通じる場合、地震にまつわる情報を得ましょう。地震による混乱で携帯やスマホが通じない場合は、管理棟で情報をもらってください。

また、海に近いキャンプ場の場合は津波の心配もあります。「津波警報」「多津波警報」が出た場合は、すぐに高台へ避難するようにしましょう

※震源地が近い場合は津波情報が遅れる可能性もあります。警報が出ていない場合や電波が通じない場合でも、早めに高台へ避難する判断をしましょう。あらかじめ高台までの最短ルートを確認しておくと安心です。

噴火の場合

  • 管理棟の広さや丈夫さをあらかじめ確認しておく
  • ヘルメットか中身が詰まった荷物で頭を守る
  • マスクやゴーグルなどを着用し火山灰が体内に入らないようにする
  • 管理棟や丈夫な建物に避難する

活火山や休火山付近にキャンプに行く場合、キャンプ場に着いたら管理棟の広さや丈夫さを確認しておき、いざと言う時に避難する場所を決めておきましょう。。

噴火が起こった際は、噴石が直撃しないようヘルメットか中身が詰まった荷物で頭を守りましょう。

その際、ゴーグルなどで目を、マスクやタオルなどで口と鼻を覆って火山灰が体内に入らないようにし、管理棟などの頑丈な建物へ大至急避難してください。

キャンプ中に被災してしまった時に持ち出したいアイテム

キャンプ中に被災してしまった時、必須アイテムを厳選して持ち出せるように準備しておきましょう。

ここからは被災時に持ち出すべきアイテムをご紹介します。

ヘッドライト 避難する際には必ず両手をあけておく!

どんな被災時にも必ず必要になる灯り。「ランタンを持っていこう!」と考えた人も多いかと思いますが、なるべく手を空けるためにも、頭や首につけられるヘッドライトがあると便利です。

避難の際、他の荷物を持っていたり、誰かの援助をしながら避難することも考えられます。また、整備されていない険しい道を通る場合は両手があいていないことで転んでケガをすることも考えられます。

ランタンなど取っ手のある照明ではなく、体に装備できる照明を持っておきましょう。避難時に持っていく予定のバッグにあらかじめ付けておくのがおすすめです。

▼おすすめのヘッドライト記事もチェック▼

ファイヤースターター 食事を作る際にも暖をとる際にも火が重要!

火は人類の進化においても重要な発見でした。被災した時にも、食事や暖取りの道具として必ず必要になるものなので、常にカバンにひとつ用意しておきましょう。

水やインスタント食品 小さく軽めのものを選ぼう!

できれば数日分のインスタント食品と水があると安心です。

キャンプで小腹が空いたとき用に、カップ麺などを何食分か持って行く人も多いと思います。車でのキャンプの方は、インスタント麺を車に置いておき食べたいときに車から降ろすようにしておけば、被災した時にも持ち出しやすいのでおすすめです。

▼キャンプでもおすすめの非常食を紹介▼

水もペットボトルで持って行く場合、少し多めに用意しておき、何本かは車に置いておくとよいでしょう。

浄水器を持ち物の中に常備しておくのもおすすめです。

▼浄水器のレビュー記事はこちらを参考に!▼

災害時の『正常性バイアス』と『同調バイアス』|その判断は本当に正しいか改めて考える

自宅にいるときには「避難しなくちゃかも?」と冷静に考えられても、キャンプの際には楽しさ故に『正常性バイアス※』がかかってしまう傾向にあります。

※正常性バイアスとは、起きている事態を「たいしたことない」「正常の範囲内」「自分は大丈夫」と思い込んでしまう先入観のこと

さらにキャンプ場では、貸し切りのキャンプ場でもない限り周囲にも他のキャンパーさんがいますいよね。そんな時にかかってしまうのが『同調バイアス※』です。

※同調バイアスとは、周りの人に行動を合わせることが正しいと思ってしまうこと

正常性バイアスと同調バイアスが相乗効果を生み、被災時に誤った判断を下してしまいかねないので、安全性と危険性が50/50の場合、安全確保を優先し命を守る行動をとってください

命より大切なものはない キャンプで被災して落ち着いて行動を

(筆者撮影)

キャンプで被災した時、落ち着いて正しい判断ができるかどうかはあなた次第。そして、正しい判断をするために役立つのは、事前の確認と準備です。

今回ご紹介した確認事項と準備しておくべきギアを参考にしてみてください!

そしてなにより、命さえあればまたやり直せるということを心に留めておいてください。なによりも優先すべきは、ギアや車でもなんでもなく、命です。

もちろん災害にあわないのが一番ですが、万が一被災してしまった時に取るべき行動をシミュレーションしながら、キャンプを安全に楽しんでくださいね。

「ただいま〜って家に帰るまでがキャンプです!」

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