虎の怪物新人・佐藤輝は〝負の神話〟のモヤモヤ払拭できるか

佐藤輝は開幕当初のような神話を取り戻せるか

前半戦ラストカードで負の神話払拭だ! 阪神が11日の巨人戦(甲子園)に0―1で敗れ、首位攻防3連戦を負け越し、ゲーム差を1・5差とされた。阪神の前半戦は、12日からのDeNA3連戦で終了。ひとまずチームは首位での折り返しに向け、引き続き〝スパート〟を図るが、注目は怪物新人・佐藤輝明内野手(22)の一発だ。交流戦終了後は、アーチを放った試合は連敗中。モヤモヤを払拭し、初選出が決まっているオールスターへと臨みたいところだ。

首位攻防第3ラウンドは、投手戦に屈する形となった。先発の西勇輝(30)が、9回無四球4安打1失点とエースにふさわしい投球を披露するも、肝心の打線が苦手の巨人・高橋の前に完全に沈黙。9回まで1安打では、矢野監督も采配のしようがなかった。

今季最短の2時間19分での零封負けに指揮官は「今年一番だった」と西勇の熱投をねぎらいつつも「プロである以上、結果で示していかないと」と、これで4戦4敗の天敵となっている巨人・高橋を攻略できなかった攻撃陣に奮起を求めた。

巨人との3連戦では計5得点。球宴前の首位での折り返しへ、攻撃陣の踏ん張りが不可欠なのと同時に、怪物新人・佐藤輝には、前半戦残り3試合のうちにスッキリしておきたいこともある。

それは自らがアーチを放った試合でのチームの勝ち負けだ。開幕当初はプロ初アーチから、佐藤輝が本塁打を放った試合はチームも6連勝。「不敗神話」と、開幕ダッシュを決めたシーズン序盤戦の虎の快進撃の象徴的存在としても扱われた。

だが、現在はその逆の状態にある。交流戦まで佐藤輝が一発を放った試合は10勝4敗と高勝率を誇っていたが、交流戦終了後は一変し、現在は怪物新人の真骨頂が出た日は4連敗中となっている。

もちろん勝敗の行方が佐藤輝に打棒すべてにかかってるわけではない。とはいえ、一番の長所を発揮したにもかかわらず、本人も最もこだわる「チームの勝利」に結びつく一本につながっていない現状には、もどかしい思いを感じている模様だ。

前半戦最大の山場と言われた巨人3連戦では、相手バッテリーの厳しい警戒の前に9打数1安打、3三振と苦杯をなめた。矢野監督は〝不発〟に終わった佐藤輝について「それはずっと続くこと。この3試合で急にっていうことじゃない。状態が悪ければそういうふうに見えることもある」と話すにとどめたが、佐藤輝がこれまで放ってきた20本のアーチは、今やチームの総本塁打数の4分の1の割合を占める。チーム浮上の命運を担う一人であることは間違いないだけに、開幕当初のような〝神話〟を取り戻すことは、佐藤輝だけでなく、チームにとっても久しく感じていない〝雰囲気〟を取り戻すことにもなりそうだ。

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