角田裕毅の成長を長い目で見守りたいトスト代表、現状に満足「複雑なF1を理解するには経験を積んでいくしかない」

 アルファタウリF1のチーム代表フランツ・トストは、角田裕毅はF1での9戦のなかで正しい方向に向かっていると確信している。彼は、若いドライバーがF1を理解するには3年は必要と考えており、角田の改善ペースには満足しているということだ。

 角田は2021年にF1デビュー、初グランプリのバーレーンで9位入賞を果たし、第6戦アゼルバイジャンGPでは7位、第8戦シュタイアーマルクGPでは10位と、これまで3回ポイントを獲得している。しかし何度かクラッシュを喫するなどミスもあり、前戦オーストリアでは白線をカットしたことによるペナルティを決勝中に2回受けた。

 トストは、F1ルーキードライバーが成長するには時間がかかるものであり、現在の角田は順調に向上しつつあると語った。

「裕毅は非常によく成長しており、全体のプロセスは間違いなく正しい方向に向かっている」とトストがオーストリアGPの週末に語ったとformula1.comが伝えた。

「ルーキーが最初からすべてを知っていると期待することはできない。だから私は常に、『若いドライバーがこの複雑なF1を理解するには3年は必要だ』と言っている。今のF1は以前よりもずっと複雑になっているのだ」

「私は裕毅に非常に満足している。彼は天性のスピードを発揮し、日に日に、セッションごとに改善している。シーズン後半はとてもうまくいくだろう。裕毅が将来成功すると私は確信している」

 フランスGPの予選Q1において、角田はターン1で縁石に乗り過ぎてスピンし、ウォールにクラッシュした。

「ポール・リカールで裕毅がクラッシュした。その前のFP3でアンダーステアの問題があったので、フロントウイングの調整を行うことにしたのだ」とトストは説明する。

2021年F1第7戦フランスGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)が予選Q1でクラッシュ

「(予選で)彼がこのコーナーに来て、ターンインすると、マシンが彼が予想していたより少し強く反応した。彼は縁石に乗り、風向きが変わったこともあって、クラッシュしたのだ。こういったことを若いドライバーに教えることはできない。ドライバーは、コース上で何をすべきか、予選を走るたびに、学んでいくしかないのだ。つまり、経験がとても重要になる」

「若いドライバーにとって、F1に参戦し始めることは本当に難しい。毎週末、レーストラックが変わるたび、そこで初めての予選を戦うことになる。もちろん、FP1、FP2、FP3を事前に走るので、走り方を知っているはずだ、とも言える。だが、例えば、風が強くなったり、違う方向から吹いてきたり、路面温度が上がったり下がったり、ということが起こる」

「パワーユニット(PU)からはパワーを得られるだけでなく、MGU-Kなどによる助けもある。若いドライバーはこういったことについても学ばなければならない。また、サーキットによって、パワーユニットの使い方は異なる。コーナーもひとつひとつ違っている。つまり、変化する要素が非常に多いのだ」

2021年F1第9戦オーストリアGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

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