9勝のオリ宮城攻略を導いた“ファーム力” ずばりハマった鷹・工藤監督の狙い

ソフトバンク・工藤公康監督【写真:藤浦一都】

ハーラートップ9勝をあげる宮城が先発した試合で掴んだ大きな勝利

■ソフトバンク 7ー4 オリックス(11日・PayPayドーム)

ソフトバンクは11日、本拠地・PayPayドームで行われたオリックス戦に7-4で快勝し、首位・オリックスに勝ち越した。主砲の柳田が2打席連続本塁打を放つなど、打線が12安打で7得点。ハーラートップ9勝をマークした宮城大弥投手が先発した試合でしぶとく白星を掴み、2連勝を飾った。

この日の試合後、工藤公康監督は「今日の集中力は凄かったなと思います。ベンチの空気も一丸になってというのがあって、リリーフ陣もしっかり粘りました。打者も点を取られてもまだまだ、とそういう思いが伝わってきた。今日は今シーズンイチと言っていいくらい、仕事を果たしてくれた」とナインを絶賛。それほどまでに、この日の1勝は大きなものだった。

相手の先発は宮城。ここまでリーグトップの9勝をマークし、防御率は1点台。しかもソフトバンクにとっては初対戦の左腕だった。これまでも初モノには苦戦してきており、この日もロースコアとなることが予想された。試合前の工藤監督も「そう簡単に点が取れるとは思えない」と苦戦を覚悟していた。

結果的には反撃の狼煙をあげる20号ソロ、そして勝ち越しの21号ソロと2打席連続本塁打を放った主砲の柳田がヒーローとなったが、この日忘れてはならないのがスタメンに名を連ねた三森大貴、野村大樹、佐藤直樹の若手3人の奮闘ではなかったか。

初対戦となる宮城に対し、昨季ファームで対戦経験のある若手3人を起用

3回、2死となってから佐藤が四球で出塁。牽制で挟まれたものの、オリックス守備陣の走塁妨害に救われて二塁に進塁。続く三森も粘った末に四球で繋ぐと、野村が中前適時打を放って先制点を奪い取った。野村にとってこれがプロ初打点だった。攻略が難しいと思われた宮城から奪った先制点。これがチームに大きな勢いと勇気をもたらしたのは想像に難しくない。1点ビハインドの7回には三森が宮城から同点の適時二塁打を放った。

宮城の4失点は今季ワースト。柳田がソロ、今宮が2安打1打点と得点に絡むと同時に三森、野村、佐藤の3人も宮城攻略に大きく貢献した。3人のスタメン起用は、昨季ファームで宮城と対戦経験があったから。「初対戦となるとボールを見たり、軌道を見たりとなる。見たことがあれば積極的に行けるところもあるのかなというふうに思う」と語っていた工藤監督の狙いもハマった形となった。

今季は序盤からメンバーをある程度、固定して戦ってきたソフトバンク。だが、ここにきて、野村を2試合連続でスタメン起用するなど、その選手起用にも変化が見える。工藤監督は「とにかく今は波に乗るまではオーダーが変わったとしても、勝ちを目指してみんなが力を合わせることが1番。出る出ないというのもあるかもしれないけど、一致団結することが大事かなと思います」と言う。一戦必勝への首脳陣の執念がこの言葉にも滲んでいる。

この日は先発の和田が4回途中で緊急降板するも、スクランブル登板した2番手の尾形が流れを食い止める好リリーフを見せた。柳田ら主力がチームを牽引し、若手は必死に食らいつく。松田や川島といったベテランはベンチでもチームを盛り上げる。オリックスを下したこの2試合、ソフトバンクに上昇の兆しが見えてきた。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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