人生の最期、漫画やアニメで考える 中部医師会が制作 医療、介護自分らしく

 【中部】中部地区医師会は6日までに、どのような医療や介護を受けて最期を迎えるかを話し合うアドバンス・ケア・プランニング(ACP)「人生会議」の普及を目的に、短編漫画とアニメーション「命の道しるべ―ぬちしるべ―」を制作した。漫画は沖縄市やうるま市など、本島中部を中心とした12市町村の地域包括支援センター窓口で配布される予定。アニメは同会「在宅ゆい丸センター」のユーチューブチャンネルで公開している。

 ACPは将来どのように生活し、どのような医療や介護を受けて最期を迎えるか、家族や医療・介護の担当者らと話し合う過程のこと。環境や体調の変化により繰り返し話し合う。「人生会議」は厚労省が名付けた通称だ。

 同会が制作した漫画は76歳の「けんいちおじぃ」が、息子夫婦に「脳卒中になり会話ができなくなったら、無理な延命処置はしないでくれ」と伝える場面で始まる。妻を介護した経験を踏まえ、さまざまなことを話し合う。アニメも漫画の内容をもとに制作した。

 県と県医師会が作成した「人生会議」のパンフレット「命しるべ」なども紹介している。

 同事業は本島の12市町村(うるま市、沖縄市、宜野湾市、金武町、宜野座村、恩納村、北谷町、嘉手納町、読谷村、西原町、中城村、北中城村)から受託している「在宅医療・介護連携推進事業」の一環。高齢者が住み慣れた地域で最期まで自分らしい生活を続けることを目指し、講演会などに取り組んでいる。

 中部地区医師会の末永正機理事(老人保健担当)は「人生の設計図は、自分や大切に思っている人と一緒に考えることが大切だ。病気によっては突然自身が判断できない状態に陥ることもあり、望まない療養の形になる可能性もある。元気な時から話し合いの場を持ち、考えることが重要だ」と話す。

 (宮城隆尋)

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