三菱商事とマップルが業務提携 地域の移動需要創出に向けた実証実験開始

三菱商事株式会社(以下、三菱商事)と株式会社マップル(以下、マップル)は、観光サービスの共同検討に関する覚書を締結した。マップルの関連会社である株式会社昭文社ホールディングスが、7月2日付のプレスリリースで明かしている。

今回の覚書は、HERE Technologies社(以下、HERE)の位置情報技術を融合した観光サービスを共同検討するというものだ。スマートシティを掲げる福島県会津若松市において、地域の移動需要創出に向けた実証実験を開始。一般財団法人会津若松観光ビューロー(以下、会津若松観光ビューロー)も実証実験に協力する。

会津若松市は「スマートシティ会津若松」を掲げ、市民目線で、産官学連携によるICTを活用したまちづくりに取り組んでいる。三菱商事は、会津若松市の連携事業者としてスーパーシティ構想の推進に参画。ICTオフィスビルである「スマートシティ AiCT(アイクト 以下、AiCT)」に、2019年より三菱商事デジタルイノベーションセンターを開設した。モビリティ部会の座長として、AiCTでの同領域のDX事業化、および地域の豊かさを感じる移動サービス群の構築を推進している。

今回の実証実験では、レンタサイクルの予約サービス提供とユーザーの移動情報の可視化・分析を行う。レンタサイクルでは、鶴ヶ城の訪問客に対して、HEREのルーティング機能等を活用し、地域の魅力的なスポットを巡るコースを提示する。これにより、ユーザーは自分の嗜好に合ったコースを選択できる。

ワンストップで会津若松観光ビューローの運営するレンタサイクルの予約も可能となり、スムーズな移動体験を支援する。さらに、自動車からの乗り換えによる渋滞緩和や環境負荷の軽減も期待できる。今後は、レンタサイクル以外のモビリティとの連携により、更なる移動の最適化に向けて取り組む予定だ。

ユーザーの移動情報は、レンタサイクルのGPS機器から取得できる移動情報を掛け合わせ、HEREロケーションプラットフォーム上で可視化・分析する。新たな地域需要の創出、パーソナライズされた旅程提案、ストレスフリーな移動体験の実現に向けて、分析結果を活用するという。

将来的には、今回の取り組みを発展させ、地域の魅力や観光の楽しみ方を搭載したコンテンツとモビリティを組み合わせた移動サービスを構築する。デジタル・リアル双方から多様なサービス・事業者との連携が可能となる地域移動サービス基盤を作り出すことを目指すと述べている。

■会津若松市長である 室井 照平 氏のコメント

「会津若松市では「スマートシティ会津若松」の取り組みの一環として、スマートシティAiCTを開所するなど、ICTを活用したまちづくりを推進しています。このスマートシティAiCTを拠点に、地域の魅力的な移動サービスと新たな需要の創出に向けた実証が、三菱商事様、マップル様によって開始されることを心より嬉しく思います。本市、会津大学、スマートシティAiCTに入居されている各企業及び、地域企業等との産官学連携により、ICTに関する様々なノウハウが本市に蓄積し、スマートシティの先駆的な取組みや先端実証プロジェクトの進行がより加速することで、「地域の豊かさ」を感じることのできる移動サービス群がつくられることを期待しています。」

■アクセンチュア株式会社 イノベーションセンター福島 センター共同統括である中村 彰二朗 氏のコメント

「三菱商事様とマップル様が、会津を舞台に地域の需要創出に関する仕組み作りに向けた実証を実施されることを歓迎いたします。都市・地域の多様なデータも用いながら、市民・観光客の需要を創出し移動体験へと繋げる仕組みは、市民中心のまちづくりを掲げるスマートシティ会津若松の方向性と合致するものであり、全国のモデルとなるような新しいMaaS(モビリティ アズ ア サービス)モデルを、ともに築いていけることを楽しみにしております。」

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