【高校野球神奈川大会】平塚湘風・山本兄弟が4安打2打点 三男ソロで猛攻口火、OB長兄もスタンドから声援

7回同点ソロホームラン平塚湘風の山本紅史朗(右)とタッチする藍之助(兄・左)

◆平塚湘風7-4逗葉

 平塚湘風に山本兄弟あり─。次男・藍乃助(あいのすけ)と三男・紅史朗(こうしろう)がともに2安打1打点。打線を活気づけ、兄は「そろって活躍することが夢だった」と喜んだ。

 1年生の弟が9番で打てば、3年生の兄も1番で仲良く続いた。三回に連打でチャンスメークすると、見せ場は1点ビハインドの七回だ。

 先頭の紅史朗が甘い球を振り抜くと、打球はレフトスタンドへ。高校はおろか、中学時代でもなかったという公式戦のアーチに「体が勝手に反応した。自分でもびっくり」と目を丸くした。同点の生還を果たす弟とハイタッチを交わした兄も「負けていられない」と中前にはじき返し、この回一挙6得点をお膳立てした。

 三男は兄の背中を追って湘風へ。次男も実は、長男に誘われるようにこのチームにやってきた。5歳上の碧朗(きよしろう)も同校OBで、外野手として打線の中軸を任された。弟2人の大活躍をスタンドで見届けた長男は「山本家の誇りです」と胸を張った。

 家に帰れば家族そろって野球談議に花を咲かせる。「もちろん苦労もある」と母・久里子さん(48)は打ち明ける。泥だらけのユニホームは3人分。洗濯機を何度回しても「終わりが見えない」し、1日に白米を1升炊いても炊飯器はあっという間に空になる。ただ、「こういう瞬間に立ち会えると、今までの苦労が吹き飛ぶ」と久里子さんは目尻を下げる。

 紅史朗が「もっと兄弟で野球をしたい」と言えば、藍乃助も「次の試合もまた打ちたい」。父・信孝さん(48)と母が「それぞれの色を出してくれるように」との思いで名付けた通りに育った山本兄弟たちが、湘風打線をまだまだ引っ張る。

© 株式会社神奈川新聞社