男・山根明氏が西村大臣を一刀両断「ボクシングを政治利用した」「失言ではなく〝地〟が出ただけ」

西村大臣への怒りをぶちまけた山根氏

東京五輪の開幕が迫る中、4度目の緊急事態宣言が12日、東京都に発令された。そうしたなか、西村康稔経済再生担当大臣(58)が政府の要請に応じない飲食店に対し、「金融機関としっかり情報共有しながら、順守を働きかけていく」と8日に発言した騒動は収まる気配はない。そんな西村氏と〝意外な因縁〟があるのが〝男・山根〟だ。一連の騒動について「西村という人間の〝地〟が出ただけ」と容赦なく斬り捨てた。

新型コロナウイルス対策で酒類の提供停止に応じない飲食店に対し、取引金融機関から順守を働き掛けてもらうよう求める政府の方針決定を巡り、内閣官房が8日付で各府省庁に、所管する金融機関に政府方針への協力を求めるよう依頼する「事務連絡」の文書を出していたことが12日、分かった。内閣官房は、銀行などを監督する金融庁や、政府系金融機関を所管する財務、経済産業両省と事前に調整や検討をしていたと明らかにした。

実際に発言した西村氏は9日に撤回したうえで、11日にツイッターに3回に分けて長文を投稿。しかし「趣旨を十分に伝えられず反省しております」「決して融資を制限するといった趣旨ではありませんでした」など、まるで「聞いた方の誤解」とでも言わんばかりの内容で、かえって怒りに油を注いでいる。

そんな西村氏に対し「口が軽いわ。大臣としての貫禄がない」と一刀両断したのは、〝男・山根〟こと日本ボクシング連盟第12代会長の山根明氏(81)だ。

一見すると全く関係がないように見える山根氏と西村氏だが、実は西村氏は東大ボクシング部のOB。2016年5月には自民党のボクシング振興議員連盟を設立し、現在も会長を務めている。議連の設立総会には、当時日本ボクシング連盟会長を務めていた山根氏と、ロンドン五輪ミドル級金メダリストで現WBA世界ミドル級王者村田諒太が呼ばれたことがある。

山根氏は当時をこう振り返る。

「議員連盟を立ち上げると聞いて、『何のために立ち上げるんや』って思ったし、利害関係が何もないから出席も断った。西村氏が国会議員というのは知っとるけど、俺にとっては何の関係もないし、こちらからお願いごとをすることもないからね。そうしたら、当時の吉森照夫専務理事を通じて出席を要請してきた。同じ東大出身で、吉森も『教え子みたいなもんですよ』と言うから、吉森の顔も立てなアカンから出席したんやけど、結局、俺の顔を利用しただけ。村田にいたっては何も関係ない。プロで活動してるのにわざわざ呼び出して、本当に迷惑やったと思う」

その後も、山根氏は自分勝手な西村氏の態度に不信感を抱いたという。

「東京で行われた世界タイトル戦のリングサイドで会った時は、国会議員4人でやって来て『何でも西村に言ってください!協力いたしますから』と言って、頭をペコペコ下げてた。アマチュアって遠征とかで金がかかるから、その部分はサポートしてくれるとうれしいけど、結局何にも助けてくれない。本当にアマチュアを愛していると感じなかったし、政治的に利用してるだけや」

さらに山根氏が過去の暴力団関係者との交際を認め、18年に連盟会長を辞任すると、西村氏はそれまでの〝ゴマすり〟から一転。山根氏が大臣就任のお祝いを伝えようと電話しても出なかったという。

山根氏はこうした西村氏の自分勝手な側面を見ていたこともあって、「今回の発言は失言じゃないよ。普段から思っていること、西村という人間の〝地〟が出ただけ。きちっとした生きざまをしていれば、日本国民に誤解されるような表現を使うこともない。よく大臣になってるものだ。情けない」と斬り捨てた。

西村氏は日本ボクシング連盟の最高顧問も務めているが、山根氏が同連盟の会長だった時はペコペコしながら、辞任すると電話にも出なくなる…。苦しい思いをしている飲食店に圧力をかけようとする態度とも、通じるものがありそうだ。

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