大谷翔平を全米のスーパースターに! 野球人気回復へMLBのマーケティング計画

大谷がMLBを変えるか(ロイター=USA TODAY Sports)

エンゼルスの大谷翔平投手(27)が13日(日本時間14日)にコロラド州デンバーのクアーズ・フィールドで行われるオールスター戦でア・リーグの先発投手を務めることが12日(同13日)に発表された。打順は「1番・DH」で、リアル二刀流実現のためにDH制を解除しなくて済む特別ルールが適用された。まさに超VIP待遇だが、それも当然。ファン離れに苦しむ米大リーグ機構(MLB)は大谷を野球人気回復の起爆剤と考えているからだ。

まさに大谷のためのオールスター戦だ。大谷はファン投票でア・リーグのDH部門で選出され、選手間投票では先発投手で選ばれた。投打同時選出は史上初。先発投手を務め、「1番・DH」でスタメンに名を連ね、DH制を解除しないで済む特別ルールが適用される。また、本塁打競争に出場、大谷の「二刀流」でのプレーを30秒にまとめたテレビCM「It’s Sho―Time(さあ翔タイムだ)」を球宴中に放映する。

やり過ぎと思えるが、大谷売り出しはMLBがこれから実行する大掛かりなマーケティング計画の一部だという。

11日(同12日)のデンバー・ポスト紙(電子版)は「MLBのマーケティング計画は大谷翔平やフェルナンド・タティスらのスター」との見出しで、人気低迷に苦慮しているMLBがこのオールスター戦から大谷、ブレーブスのアクーニャ、ブルージェイズのゲレロ、パドレスのタティスら「1990年代以来のエキサイティングな若いスターたち」を中心としたマーケティングに力を入れていると報じた。

90年代にナイキの全米コマーシャルに採用されたケン・グリフィー(マリナーズなど)や雑誌「GQ」や「ニューズウィーク」の表紙になったデレク・ジーター(ヤンキース)らは全米での人気を誇ったのに対し、MVPを3度受賞し、MLB史上最高選手の一人であるエンゼルスのトラウトは野球ファン限定。

マーケット・リサーチで今年のスーパーボウルでバッカニアーズのQBとして自身7度目の優勝を果たしたトム・ブレイディ(43)の全米での認知度79%に対し、トラウトはわずか22%。さらにスポーツ・ビジネス・ジャーナルによれば、18歳未満のMLBファンはたった7%だという。

デンバー・ポスト紙は「MLBは今こそもっともっと宣伝に力を入れるべき。まだ足りていない。大谷はベーブ・ルースと比較されるほどスペシャルな選手。もっとそこら中で(宣伝を)見るべきだが、まだそこに至っていない。全米のスーパースターにはまだなれていない」とした。

また、ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は12日に「ショウヘイ・オオタニは、まさにアメリカのパスタイム(娯楽)が必要とするスターだ」と題したコラムを掲載。「大谷は現在、すべてのスポーツにおいて最高の見るべきショーの一つ。月曜には本塁打競争に出場して、火曜にはオールスター戦で打って投げる。今の活躍を続ければ、最高のシーズンになる」と解説。「バリー・ボンズのシーズン73本を脅かすかもしれない」とも期待した。

その上で幅広い層への人気獲得に苦しむMLBにとって、大谷が欠かすことのできない存在になっていると主張した。

大谷が真夏の祭典に刻む二刀流としての第一歩がMLBを変える。

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