「あしたのジョー」を強く意識

矢吹正道が世界王者・寺地拳四朗に挑戦

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WBCライトフライ級戦が決まった王者の寺地拳四朗(左)と挑戦者の矢吹正道=7月5日、大阪市

 世界ボクシング評議会(WBC)ライトフライ級1位の矢吹正道(緑)が9月10日、京都市体育館で同級チャンピオンの寺地拳四朗(BMB)に挑戦することが発表された。

 矢吹の本名は佐藤正道。リングネームの矢吹は人気漫画「あしたのジョー」の主人公、矢吹丈にあやかったものだ。

 初の大舞台に向け、「プレッシャーをかけ、KOを狙いたい」と抱負を口にした。自慢の強打が9度目の防衛戦に臨む王者に通用するか、見ものだ。

 矢吹は三重県鈴鹿市出身。高校時代にはインターハイに出場したこともある。

 2016年3月、1回TKO勝ちでプロデビュー。しかし、4戦目の全日本フライ級新人王決定戦で敗れ、初黒星を喫した。このときの相手は現世界ボクシング機構(WBO)フライ級王者の中谷潤人(M・T)だった。

 その後は3連続KOを記録するなどパワーは十分。オーソドックススタイルからのスピードを生かした連打が持ち味だ。

 20年7月、日本ライトフライ級王座決定戦で佐藤剛(角海老宝石)とグローブを交えた。

 ファイターの佐藤に対し、冷静に対応。初回、まず左フックで先制のダウンを奪った。立ち上がる相手に一気のラッシュをかけ、2度目のダウン。そのままテンカウントを聞かせた。

 初タイトル獲得に「サウスポー対策に取り組んできた。右を合わせる作戦がうまくいった」と会心の速攻劇を満足そうに振り返った。

 12月の初防衛戦ではアウトボクシングを展開。軽快なフットワークとジャブで大内淳雅(姫路木下)を大差の判定で下した。

 終了後には世界挑戦へ向け「目標はWBCの寺地。前からやりたかった」と意欲を見せた。戦績は12勝(11KO)3敗。29歳。軽量級としてはKO率の高さが目立つが、力任せだけではないテクニックも持ち合わせている。

 同じ29歳の寺地は安定感がある。8度の防衛戦でも終始自分のペースで闘い、危ない場面は少ない。

 ボディー攻撃をKOにつなげるなど柔軟さに定評がある。戦績は18勝(10KO)で、デビュー以来、不敗の快進撃を続けている。

 矢吹の弟のリングネームは力石政法(緑)。矢吹丈の最大のライバル、力石徹から拝借している。

 兄弟で「あしたのジョー」を強く意識しているのは明らかだ。リング上でのパフォーマンスを楽しみにしたい。(津江章二)