静岡県熱海市伊豆山の大規模土石流で、神奈川県が派遣した緊急消防援助隊として現地で行方不明者の捜索・救助に当たった横浜市消防局の隊員が13日、林文子市長に活動を報告した。二次災害の危険と隣り合わせの活動で「自然災害の恐ろしさを目の当たりにした。一人でも助けたいという思いだった」と振り返った。
市から派遣された先遣隊が現地に着いたのは、土砂崩れ発生から約11時間半後の3日午後10時ごろ。被害の大きい場所を中心に翌日早朝から救助活動を始めた。市警防課特別高度救助部隊の小川直哉さん(39)は「土砂とぬかるみがひどく、胸まで泥に漬かって作業を行った」と振り返る。
大量の土砂をスコップで少しずつかき分けた。部隊の指揮を担当した同隊の吉田雅史さん(46)は「助けを待つ人を救うため、少しでも早く前に進みたかったが進めないもどかしさがあった」という。
現場では小雨が続き、二次災害への警戒に気を使った。ドローンを飛ばして安全を確認。各所にセンサーや監視員を配置し、警報が鳴って活動を中断することが続いた。
市消防局から派遣されたのは12日までの10日間で、延べ61隊220人。吉田さんは「災害はいつどこで起きてもおかしくない。経験を今後の活動に生かしたい」と誓った。