ビニール袋に猫の赤ちゃん 長崎・波佐見でも 特定エリアが〝捨て場所〟に 「遺棄は犯罪」と周知を

波佐見町内の山間部で、ビニール袋に入れて捨てられ、保護された子猫=7月7日撮影(ナガサキポストへの投稿)

 長崎県波佐見町でも生後間もない猫がビニール袋に入れて捨てられていた―。

 長崎新聞の情報窓口「ナガサキポスト」のLINEに、同町で保護猫活動に取り組む女性から連絡があった。先月、長崎市では同様の手口で猫を捨てた疑いで20代男性が逮捕されたばかり。女性は「動物遺棄は犯罪だと行政がしっかり周知すべきだ」と訴える。

 女性によると、今月5日、町内の山間部の空き地で、口を縛ったビニール袋に4匹の猫が入れられていた。発見した知人が女性に連絡。へその緒がついたままで、1匹はすでに死んでいた。他の3匹も衰弱し、女性が介抱した後、佐世保市のボランティアが世話をしていたが、12日までにもう1匹が死んだ。

 動物遺棄は昨年6月に施行された改正動物愛護法で厳罰化。先月、長崎市で生後間もない猫4匹が市指定のごみ袋で捨てられているのが見つかった事件では、近くに住む20代男性が動物愛護法違反(遺棄)容疑で逮捕された。女性は「事件が報道され、話題になったのに、また同じことをする人がいるなんて」と憤る。

 猫が見つかった空き地は〝捨て場所〟のようになっていて、以前から猫の遺棄が多いという。場所を教えてもらい、訪ねると確かに車で行きやすい上、周辺に民家などがなく、目立ちにくい場所だった。

 女性は「動物遺棄を禁じる看板を立てたり、広報で『遺棄は犯罪』と啓発したりしてほしいが、町は『野良猫に餌をやらないで』としか知らせてくれない」と行政にも不満をもらす。

 町住民福祉課に取材すると、特定の場所に猫が捨てられている状況を把握。件数の記録はないが、「町への動物遺棄の通報は増えている」と明かした。「県外ナンバーの車が捨てに来ている」との情報もあり、職員が防止のため不定期で見回りをしているが、「目立たない時間帯と場所を狙って来るので防げない」という。看板設置には一定の効果を認めつつも「『この場所に捨てれば対応してくれる』と受け取られるリスクもある」と慎重だ。今月に
も「動物遺棄は犯罪」とするチラシを初めて作り、町内回覧で啓発する。

 東彼地区では今年、飼い主のいない猫を地域住民で飼育管理する「地域猫」の活動を広げる町民有志のグループが発足した。大津かおり共同代表は「猫を保護する受け皿が足りない状況がある。地域猫活動の啓発と並行して、できる人ができる範囲で猫のTNR(捕獲・不妊治療・元の場所に帰す)活動に参加、協力できるネットワーク構築にも動きたい」と話す。(六倉大輔)

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