沖縄の暴走通報2000件超え 6年前の3倍 夜間、北部への走行増える

 【恩納】暴走行為に関連する110番受理件数が2020年は2232件となり、10年ぶりに2千件を超えたことが13日までに、沖縄県警交通指導課のまとめで分かった。6年前の3倍。かつて社会問題になった市街地でのイベント的な暴走行為は減少傾向にあるが、中南部から北部方面への夜間ツーリングなどが増加傾向にあるという。恩納村の国道58号はツーリングの通過地点として数十年も騒音問題が続いており、住民からは「取り締まりを強化してほしい」などの声が上がっている。

 一方、県警によると、摘発件数は08年の2298件をピークに減少傾向にあり、14年以降は500件以下にとどまっている。2人乗りで走行中に鉄パイプなどを振り回すなど、かつての「暴走族」は共同危険行為などでの摘発が相次いだが、近年は中南部から北部まで広範囲の暴走行為が目立ち、対応が難しいのが現状だという。 県警は通報件数の増加について(1)二輪車需要の復調によるツーリングライダーの増加(2)暴走指向者がSNSを利用して集結するなど時代の変化(3)コロナ禍により個人に時間的余裕が増える一方で、娯楽などについて制限が広がり、密を避けて居場所を求める若者らが夜間に集まる―などの状況があると分析している。

 12年、県警は暴走族対策として全国で初めて「白バイ遊撃班」を設置した。それまでは事後捜査による摘発が主流だったが、同班の設置で「現場摘発・抑止対策」に力を入れた結果、翌13年以降は暴走族関係の110番通報は減少した。

 だが、恩納村など北部地域での暴走行為は迂回(うかい)路のない道路もあるため、全ての道路を規制することが難しく、騒音問題が続いている。

 県警交通指導課は「パトカーや白バイ遊撃班による警戒取り締まりによって20年中は14年以降最多となる451件を摘発したが、二輪車の暴走行為や騒音は中部方面から恩納村に至るまで広範囲に及んでおり、引き続き対策を講じていく必要がある」としている。 (松堂秀樹)

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