【追う!マイ・カナガワ】緊急事態宣言下の五輪、反対が過半数 「納得いかない」「『復興五輪』は?」…アンケート結果

オリンピックシンボルのモニュメント=13日午後、横浜市中区の赤レンガパーク

 新型コロナウイルス禍が収まらず、東京都内で4度目となる緊急事態宣言が発令され、県内ではまん延防止等重点措置が続く中、無観客で開催される東京五輪をどう考えるか-。神奈川新聞「追う! マイ・カナガワ」取材班が9~12日に「マイカナ友だち」を対象に行ったアンケートでは、宣言下での五輪開催に反対する声が過半数を占めた。

◆「ワクチン接種も進んでいない」

 405人の回答者のうち、五輪開催に反対が235人。賛成は82人、どちらともいえないは88人だった。

 「反対」を選んだ茅ケ崎市の会社員男性(61)は「変異種が広がる中で、世界中から人が集まるオリンピックを開催できる環境ではない。日本でのワクチン接種も高齢者以外進んでいない」と心配の声を上げる。

 横浜市磯子区のパート女性(60)も「まだ普通の生活が戻っていないうえ、感染拡大が目に見えている。強引な開催は納得がいかない」と不安をのぞかせ、「アスリートの気持ちは理解できるが、芸術など他の分野でも人生を懸けてきた人が色々な機会を奪われている。スポーツだけが特別ではない」と訴える。

 「賛成」を選んだ同市南区の男子学生(20)は「横浜でもトライアスロンなどの世界大会がすでに開かれている。そのノウハウを生かせば大丈夫だと思う」とし、「どちらともいえない」の逗子市の50代地方議員事務所スタッフ女性は「開催はありえないとも思うが、ボランティアとしても参加しているし、選手のことを思うと複雑な心境です」と思いを寄せた。

◆「世界が一つ」首相発言、「同意できない」多数

 菅義偉首相が会見で、「コロナに直面する今だからこそ、五輪で世界が一つになる」などと五輪開催の意義を強調したことに対しては、「同意できない」との回答が323人に上り、「同意できる」としたのは55人にとどまった。

 その理由として目立ったのは誘致時から掲げられていた「復興五輪」の理念との整合性だ。「招致の際は東日本大震災からの復興をうたっていたのに、いつの間にかすり替わった。五輪開催理由が曖昧である証拠だ」(横浜市戸塚区の49歳男性会社員)。

 また、首相の「人類の英知で難局を乗り越えていけることを東京から発信したい」という発言には、「英知がなんなのかが具体的に示されていない」(同市南区の40代男性会社員)や、「医療崩壊が起きている国もある。スポーツで難局を乗り越えるなんて見当違い。一部の選ばれた人の栄光が輝かしいほど、陰でつらい思いをしている人たちもいる」(同市泉区の40代医療従事者の女性)と厳しい声が相次いだ。

◆スポーツがたたかれる

 一方、「同意できる」とした藤沢市の40代主婦は「ずっと応援してきた選手の頑張りを見て元気をもらえるし、子どもたちの希望にもなる。スポーツがたたかれる世の中になってしまったら、夢を描いた子どもたちもかわいそう」とした。

 五輪開催時の不安なことについて尋ねた項目では、「無観客であろうがなかろうが、たくさんの方が移動することに変わりはない。接触の機会がなくならない限り、不安はなくならない」(横浜市神奈川区の49歳女性派遣社員)などの声が上がった。

◆緊急事態宣言「効果ない」多数

 東京で4度目となる緊急事態宣言、県内では横浜などで3カ月以上もまん延防止等重点措置が続く。そうした施策の効果を尋ねる質問には「効果なし」との回答が231人、「効果あり」は53人だった。

 効果なしとした厚木市の40代の女性保育士は「緊急事態宣言慣れしてしまい、結局、行動の自粛にはつながっていないのではないでしょうか」と投稿した。茅ケ崎市の50代の団体職員男性も「飲食店を対象にしているが、本当に感染拡大を抑える気があるのなら、まずは電車などの公共交通機関の人の流れを止めてほしい」と不満を吐露する。

 効果ありとした人からは、「自分は宣言をきっかけにテレワークが始まり、出歩く機会が減って感染せずに済んでいるから」(川崎市中原区の51歳パート女性)などと声があった。

 また、酒店を営む横浜市緑区の男性(52)が「飲食店・酒販店を悪者扱いしないでほしい」と切実な声を寄せた一方、鉄道会社勤務の小田原市の男性(50)は「公共交通機関では酔っ払ってマスクをせずに大声を出す方や、寝込んでしまう方もかなり戻ってきている。報道しやすい飲食店(の影響)をマスコミは取り上げすぎ」と苦言を呈した。

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