西村大臣謝罪でも収まらない飲食店蜂起 銀座クラブは政府要請無視して“開けっぱなし”

銀座のネオン街はどうなるのか

政府は13日、酒類販売事業者に対し、酒類提供を続ける飲食店との取引を行わないように要請した新型コロナウイルス対策について、撤回する方針を固めた。西村康稔経済再生担当相(58)による取引金融機関から順守を働きかけてもらうよう求める方針を撤回したのに続き、世論の反発に配慮した形だが、それでも抗議活動はやむ気配はない。一方、酒類を提供する現場はどうなっているのか。東京・銀座のクラブ街は堂々と通常営業していた…。

西村氏は13日の記者会見で「何とか感染を抑えたい、できるだけ多くの方に協力いただきたいという強い思いからだった」と苦しい釈明に追われた。

同氏の金融機関への働きかけ発言を巡っては、党内外や飲食業界、国民から批判が噴出。西村氏は発言翌日に陳謝、発言撤回に追い込まれたが、酒類販売事業者に対しての取引を行わないようにとの要請はかたくなに撤回しないとしていた。

ところが、政府与党への批判は収まらず、販売事業者への要請も撤回を余儀なくされた形だ。

「不公平な『緊急事態宣言』には断固反対します。秋の総選挙では、自民党と公明党以外に投票します。お客様もご協力ください」の文言が入ったポスターを作製し、飲食店の店頭への掲示を呼びかけ、反響を起こした「堀江政経塾」の斉藤健一郎塾長(40)は政府の方針転換にこうツイッターに書き込んだ。

「このままの流れだったとしたら、営業を続ける飲食店は反社会的勢力的位置付けになりかねなかったので銀行取引、酒販取引が止められなくて本当に良かった」

14日には東京・新橋SL広場で抗議ポスターを直接配布する活動を予定している。斉藤氏は「酒類販売事業者と取引金融機関への依頼は取り消されるが、緊急事態宣言を止めるワケではないので、予定通り行う」と抗議活動の決行を宣言。政府へプレッシャーをかけ続ける考えだ。

一方、東京都で4度目の緊急事態宣言が発令された12日は、銀座のクラブ街について、東京都と警視庁が通常営業を“黙認”している状況だった。
昨年の4月以降、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置による休業や時短要請、酒類提供禁止の繰り返しで、夜の銀座の売り上げは激減。クラブやバー、スナックの閉店や倒産が続出している。約1万人いたホステスたちが半分の約5000人に減少。残ったホステスも収入は半減しているという。

銀座関係者は「それでも生き残っている銀座のクラブの約8割は“ホステスたちの生活を守る”という大義名分で休業や時短要請に従わず、酒類も提供し“ルール破り”の通常営業を続けているんです。もちろん、12日以降も、通常営業で酒類を提供しています。酒屋サイドから取引停止されたとしても、大半の店は買いだめしてあるので問題なく営業してますよ」と明かす。

また、銀座社交料飲協会加盟店のクラブ店長は「12日に新規オープンしたクラブがあるんです。ビルの前にお祝いの花輪が200基ほど並べられた。所轄の築地署が来て『あまり派手にやるな』と店に注意したことで、店の代表が警察官に食ってかかりましたが、最後は注意に従って花輪を撤去し、そのまま通常営業を続けてました。東京都も営業前にコロナ安全対策の確認をするだけで、営業中の酒類提供についてはノータッチですよ」と語る。

今年1月の緊急事態宣言下、自民党の“銀座3人組”の銀座クラブ豪遊が発覚して離党に追い込まれ、公明党議員は議員辞職している。銀座のクラブは与党政権にとってはトラウマなはずだが…。

「都と警察がクラブの通常営業を見て見ぬふりをしているのは、夜遊びしたい自民党議員への“忖度”という冗談まで出ています」(クラブ関係者)

政府と都は、通常営業を続ける夜の銀座をどうコントロールするのだろうか。

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