真備追悼復興3年祭(令和3年7月3日開催) ~ 祈りを胸に未来に向かって歩む

平成30年7月豪雨から3年となります。

会場の高梁川真備川辺ふれあいグランドへと向かう道すがら、新しい家が立ち並んでいるのを見かけました。

復興が進んでいることを実感し、真備で生きる人たちの力強さを感じつつも、確かにここで災害が起こったのだと改めて思い起こすことに。

2021年で3回目の開催となる、真備追悼復興3年祭をレポートします。

真備追悼復興3年祭について

真備追悼復興3年祭は、追悼の想いと未来へ向けての復興の歩み、2つの想いを込めたお祭りです。

高梁川真備川辺ふれあいグランド内で開催され、飲食ブースの出店や災害時に活躍する車の展示、和太鼓の演奏、カラオケなどステージの催しもありました。

2021年で最後となる追悼復興祭は、コロナ禍で制限を受けるなかでの開催となり、会場へ入るにはマスク着用で検温をし、アルコール消毒を済ませます。

大勢の人が集まるイベントだからこそ、感染拡大対策を入念にしていました。

そして、真備追悼復興3年祭の目玉はなんといっても、LEDスカイランタンと2,000発の花火でしょう。

真備追悼復興3年祭のようす

当日の天気予報では降水確率が60パーセントと雨の予報

会場へ着いた早々に雨が降り始め、「これは花火は中止かも…」と不安になりました。

悪天候にもかかわらず、会場には傘を差した大勢の人。

家族連れ、友達同士、カップルなどさまざまな年代の人がお祭りを楽しんでいます。

浴衣を着ているかわいらしい女の子たちもちらほら。

早速、展示ブースに足を運びます。

「真備町地域活性応援隊~竹あかり~」による竹あかりとアマビエの像には、夜にLEDライトが灯り、細工が施された竹から優しい明かりがこぼれていました。

▼ステージではカラオケが繰り広げられています。

小さな子が大勢の人の前で歌っていましたよ!その度胸に感服です。

タイミング悪く聴けませんでしたが、高校生による和太鼓演奏もありました。

▼飲食ブースでは長蛇の列

16店舗が出店しており、屋台の定番でもあるお好み焼きや焼きそば、アイスなど、美味しそうな匂いが漂っていました。

大勢の人が並んでいたので、「食べるのはあとでいいか」と後回しにしたところ、うっかり食べ損ねてしまい少し後悔が残ります。

特定非営利活動法人Gorilla(ゴリラ) やす屋

真備追悼復興3年祭を主催している特定非営利活動法人Gorillaのスタッフでもある、やすこさん。

アクリルたわしやキーホルダー、マグネットなどを売ってGorillaの活動資金にされているそうです。

古着やハンガーを集めて、被災地へ送っていた際にGorillaと知り合い、スタッフになったとか。

販売していたキーホルダーはなんと完売

救護用医療テント

災害救護がメインで、病院の代わりにテントで患者を診るのが救護用医療テントの役割。

平成30年7月豪雨では活躍はありませんでしたが、平成28年(2016年)熊本地震の際に活躍したそうです。

外付けされている管から冷たい空気がテント内に送られ、室内の温かい空気と入れ替わっています

テント内は涼しく、とても気持ち良かったです。

ちなみに冬は暖かいそうで、テントといえども中は快適。

広さも十分あり、ベットが4台~6台くらい置けます。

救護用医療テントについて詳しく教えてくれたのは、日本赤十字社 岡山県支部の横松秀信(よこまつ ひでのぶ)さん。

気さくに何でも答えてくれました!

救急車

この車、実は救急車なんです。

大きなキャンピングカーみたいですよね。

それもそのはず、キャンピングカーを救急車として利用しているのです。

こちらの救急車には6人1チームで対応します。

医師、看護師、助産師や薬剤師、事務員など、チームを組んで被災地まで駆け付けるのです。

診療所が被災地を巡り、その場で患者を受け入れ、処置をするイメージですね。

車内には担架、水道や冷蔵庫、空気ボンベなどが設置され、処置用ライトもあるので、応急処置も可能なんですよ。

照明車

照明車という名前のとおり、ライトで照らすことができます。

夜間作業用の車で、平成30年7月豪雨の折には真備にて活躍したそうです。

土砂崩れなど災害が起きた際、早く復旧しなければならない工事がある時は照明車の出番ですね。

また、ライトの隣にはカメラも付いており、土砂崩れしそうな場所の監視としても活躍します。

高さは最大10メートルまで、光の届く範囲は約200メートルで新聞が読める範囲とかなり明るいです。

照明車について教えてくれたのは、国土交通省 中国地方整備局 高梁川・小田川緊急治水対策河川事務所の上原健(うえはら けん)さん。

ていねいに答えてくれました!

排水ポンプ車

排水ポンプ車が出動するのはなかなか稀(まれ)で、国土交通省のスタッフでも滅多に見かけないそう。

台風や大雨被害で浸水しそうな時や、浸水時に活躍する車なので、出番のない方が良いですね。

移動式クレーン車

移動式クレーン車は、真備の河川工事で活躍しました。

土のう袋やコンクリートを持ち上げて、据え付けるのが役割です。

クレーンで運べる重さは1~2トンで、軽自動車1台を吊り下げて20~25メートル移動することが出来ます。

見ごたえあり!2,000発の花火

主催者の熱い想いが通じたのか、花火の始まる午後8時には雨が上がり、花火が夜空を彩りました。

花火の音を全身で浴びながら、新型コロナウイルス感染症の影響で我慢を強いられ、モヤモヤとしていた気持ちが一気に発散していくよう。

復興の祈りだけでなく、コロナ禍で辛い思いをしている人に元気や希望をくれるような、背中を押してくれるような花火でした。

雨が降っているため出来ないといわれていたスカイランタンも急遽行われ、予定より数は少ないですが、夜の空をやさしい明かりが照らし出します。

おわりに

主催者と、3周年のイベントを待ち望んでいた多くの人の願いによってなのか、雨も上がり、すべての催しが開催されました。

コロナ禍と雨という、不可抗力に近いような状況でも、奇跡のように開催された真備追悼復興3年祭に多くの人が勇気づけられたかもしれません。

ここからまた一歩、決意を新たに未来に向かってがんばっていこうと歩んでいける、熱い想いのこもったイベントでした。

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