日本遺産活用し地域活性化を 講演と事例報告 民俗芸能の披露も 上越市で北前船フォーラム

 上越市は10日、同市下門前のリージョンプラザ上越で「北前船フォーラム」を開いた。北前船を活用した地域活性化の講演や、北前船によってもたらされた地元の民俗芸能披露などが行われた。

 同市は平成30年、日本遺産「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~」に認定された。これまで北前船の座談会やパネル展示などを実施し、フォーラムは今回初めて。小樽商科大グローカル戦略推進センター学術研究員の高野宏康さんが「北前船の歴史的意義と魅力」をテーマに講演し、直江津の北前船遺産で市の「地域の宝」に認定された、まちおこし直江津の佐藤和夫代表が事例報告を行った。

女性船主が寄進した住吉神社の船絵馬を掲示して解説する高野さん

 北前船寄港地の石川県加賀市橋立町出身で曽祖父の代まで北前船の船乗りをしていたという高野さんは、北前船の定義や小樽市、加賀市などの事例を説明し、「日本遺産は活用を前提にしている。歴史研究の成果をどう地域活性化に取り入れるかが大事」と話した。また、上越市のライオン像のある館(旧直江津銀行)について「北前船で栄えた直江津の商工業を支えた銀行として建てられ、回漕店の社屋になった。興味深い建物」と話した。

 佐藤代表はこれまでの活動や北前船寄港地としての直江津の特徴を解説。夷浜米大舟保存会舟踊会が米大舟を、直江津民謡保存波路会が直江津舟方節を披露した。

北前船の船乗りによって伝えられた民俗芸能が披露された

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