16年前の強姦致傷、16日判決 PTSDとの因果関係争点

横浜地裁小田原支部

 2005年7月、神奈川県厚木市で当時高校生だった女性に性的暴行を加えて全治不詳の心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負わせたとして、強姦(ごうかん)致傷と強制わいせつ致傷の罪に問われた無職の男(43)=同市=の裁判員裁判判決が16日、横浜地裁小田原支部で言い渡される。女性が被害から14年後に診断を受けたPTSDと事件の因果関係が争点。認められなければ、強姦罪の時効が成立し、裁判を打ち切る「免訴」判決となる。

 起訴状などによると、男は05年7月19日、厚木市内を歩いていた高校1年の女子生徒を脅迫して、廃業したガソリンスタンドの敷地内に連れ込み、性的暴行を加えるなどしてPTSDを負わせた、としている。

 当初、県警は強姦などの容疑で捜査していたが15年7月に公訴時効(10年)が成立。だが県内で18年に起きた別事件の捜査で採取していた男のDNAが一致したことから男の関与が発覚した。

 女性は19年1月、▽暗闇を怖がる▽背後からの物音に敏感になる─など複数の症状があるとして、精神科医からPTSDと診断された。このことから、県警はPTSDが被害による傷害に当たるとして20年6月、強姦致傷容疑で男を逮捕した。起訴は同罪の時効(15年)成立の4日前だった。

 証人尋問で女性を診断した精神科医は「事件がトラウマ(心的外傷)体験であることに議論の余地がない」と断言。事件発生の05年当時、PTSDの社会認知度が低く、症状を自覚しづらかったとも指摘した。

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