巨人・原監督が審判を惑わしライバル球団を驚かせた数々の「マジック采配」

前半戦を2位でフィニッシュした巨人・原監督

巨人は14日のヤクルト戦(東京ドーム)に7―11で連夜の大敗を喫し、前半戦の全日程を終了した。後味の悪い結末にも首位阪神に2ゲーム差の2位フィニッシュ。相次ぐアクシデントに見舞われた85試合では、原辰徳監督(62)のさまざまな「奇策」がさく裂した。相手の打席途中で投手を交代する〝幻惑戦法〟などが代表格だが、ライバル球団をどよめかせた別のビックリ采配とは――。

総動員で臨んだ一戦は、投手陣の総崩れで幕を閉じた。球団最多タイの9投手が登板し、被安打12に14四死球の大乱調。原監督も「フォアボールもいくつ出した? 二度とあってはいけないゲームだろうね」と戒めた。

とはいえ、一難去ってまた一難だった前半戦は終了。再調整に違和感、骨折に新助っ人の退団…。次から次へと襲いかかるアクシデントの中でも、限られた戦力をどうにかやりくりし、最大8ゲーム差を最終的に2まで縮めた。それだけでなく、ベンチ主導の采配で幾多の窮地をしのいできた。

代表的なのは、6月20日の阪神戦(甲子園)で繰りだした〝勝負手〟だろう。代打・北條にカウント2―2になったところで変則左腕の高梨から右腕の鍵谷にスイッチ。審判団すらルールを勘違いする一手でピンチをしのぎ、首位快走の猛虎に食い下がった。6月29日の広島戦(東京ドーム)でも同様の投手起用をするなど、相手の目先を変え、頭を整理させる間を与えずに仕留める「原マジック」だった。

また、6月8日のオリックス戦(京セラ)では球団新記録となった9イニングで9投手を投入。疲労蓄積による故障リスク増と隣り合わせのマシンガン継投は物議もかもしたが、紆余曲折がありながらも急場をしのいできた。

こうした中、ライバル球団を驚かせた原采配は他にもあった。他球団関係者は「小林には失礼かもしれないが、野手に『代打・小林』という起用法はあまり記憶にない。しかも大城に。今年の原監督は次の日にスタメンで使う選手を試合の終盤で使うことが多いけど、あの時は次の日も大城だった。大城に〝喝〟を入れる起用だったのでは」とみていた。

「あの時」とは6月18日の阪神戦(甲子園)で、大城は前日まで10打席連続で凡退するなど打率も降下し続けていた。打撃に定評がある大城の代打に、守備力が評価されている小林。投手の代打に小林が起用されることはあったが、公式戦で野手に送られることは2019年5月以来、2年ぶりだった。それ以前となると、14年6月までさかのぼるレアケースだ。

その〝無言のゲキ〟が伝わったのか、翌19日の同戦でスタメンマスクをかぶった大城は一時同点に追いつく14試合ぶりの一発でチームの勝利に貢献した。

今後は約1か月間、公式戦が中断する。指揮官は「全員で本当によく戦った前半戦だと思います。それをしっかりとつなげていく」と総括し「時間があるし。いいものは伸ばし、矯正をするところはする」。再調整とベンチワークを融合させ、後半戦はロケットスタートを切れるか――。

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