「諦めず相談を」債務減免、コロナ影響も対象に 長崎県弁護士会が呼び掛け

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債務整理ガイドラインを活用した場合の手続きの主な流れ

 新型コロナウイルスの影響で借金を返せない個人らの債務を減免する特例措置が長崎県内で初めて適用されたことが、県弁護士会への取材で分かった。長崎簡裁で14日、県内の女性と金融機関の特定調停が成立した。自然災害向け「債務整理ガイドライン」の対象が昨年、新型コロナにも拡大。債務者が自己破産せずに生活や事業を再建でき、担当弁護士は「コロナ禍で困ったら相談を」と呼び掛ける。
 同ガイドラインは、災害で家屋が倒壊するなどして借金返済が不能になった個人や個人事業主を支援する指針。住宅ローンを除く債務の免除・減額を被災者が申し出ることができる。
 東日本大震災や熊本地震で多く利用されたが、同会によると、本県はコロナ前は1件しかなく、認知度は低い。被災者が最も多額を借りた金融機関に自ら申し出て同意を得る手間や、窓口担当者が指針を知らず、門前払いするケースも少なくないなど「使い勝手の悪さ」が指摘されている。
 その一方、利用すればメリットは大きい。弁護士や公認会計士ら「登録支援専門家」による手続き支援は無料。債務整理の後、財産の一部を手元に残せる。この制度で債務整理しても信用情報(ブラックリスト)に記録されず、新規借り入れに影響しない。債権者側も自己破産と同様、損金処理で税負担を軽くできる。
 金融庁の働き掛けで全国銀行協会などの関係団体は昨年10月、指針を改正。コロナの影響で収入や売り上げが減った場合も含めた。対象債務は昨年10月までに借りた分で、残せる資金は99万円まで。
 県弁護士会によると、県内適用1例目となった女性は非正規社員だったがコロナ禍で失業。再就職先も見つからず生活が苦しくなり、消費者金融7社に借りた残高は計230万円になった。昨年秋、最大債権者に申し出たが断られ、同会に相談した。長崎市の黒岩英一弁護士(40)が登録支援専門家となり、全債権者との協議を経て、5月に債務全額免除の内容で特定調停を簡裁に申し立てた。
 同会には2月までにコロナ関連の支援依頼が9件あった。黒岩弁護士は「コロナ禍で債務返済が難しくなった方は多いはず。人生はやり直せる。自己判断で諦めず、まず相談してほしい」としている。

債務整理ガイドラインの利用メリット