ワクチン〝2回目難民〟続出 「足らないのは風評」発言の下村氏に世論の声は届くのか

下村政調会長

自民党の下村博文政調会長(67)が新型コロナウイルスのワクチンについて、13日に「足らないという風評が広がっていることも事実だ」と発言して批判されたが、実際のところ風評などでは決してない。多くの自治体で、高齢者以外の年代でも接種受け付けが始まっているが、2回目接種の予約ができない“ワクチン難民”が続出しているという――。

風評発言から一夜明けた14日、東京・世田谷区長の保坂展人氏がツイッターで下村氏に対して、「よほど、現状を見ることをおろそかにしたのか、例えば『国の倉庫には豊富にある』等の私たちの知らない情報を知ってのことか」と苦言を呈した。

一方の下村氏は事務所公式ツイッターで同日、批判に反論している。「事実関係は『ワクチン不足との風評が拡がっているが、国の8800万回分供給に対し接種実績4600万回。差引4200万回分の自治体が抱える在庫の活用が重要』との挨拶の冒頭を切り取った記事です」と、ワクチンの在庫は自治体にあると強調した。

実際のところ、ワクチンは足りているのかいないのか?

東京都に住む40代の男性は「自治体のワクチン接種の予約が開始されたので、さっそくネットから予約をしようとしたら、1回目しか予約できないんです。自治体からのお知らせには『2回目も同時に予約してください』とあるのに、枠がないんです」と明かした。ワクチン難民になってしまったのだ。

予約開始からしばらくして「すべての予約枠が埋まった」という知らせが、その自治体のホームページに掲載されたという。

「理由について、国からのワクチン供給量が大幅に減ったから予約枠を制限している、とありました。予約が殺到して枠が埋まったのではなく、ワクチンがないから2回目は打てないというわけです」(前出の男性)

ツイッターでも、2回目の接種ができない「“2回目難民”になった」との書き込みをいくつも見られる。年代によっては、まだ予約が始まっていない地域もあるだけに、ワクチン難民は今後、ますます増えていくことが予想される。菅義偉首相は14日午前、記者団に対して、「最大の切り札はワクチンだ」と話した。逆に言えば、ワクチンが足りないのが風評ではなく事実だとすれば、菅政権はすでに切り札を失っていることになる。在庫があるなら何とか見つけ出さないと、菅政権の命取りになりかねないが…。

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