市重文の旧小学校分校舎、軒が崩落し雨漏りも 修復足踏み

損傷が目立つ旧三崎小学校城ケ島分校。正面の玄関はベニヤ板で閉鎖されている

 三浦市・城ケ島の旧三崎小学校城ケ島分校(現旧城ケ島分校海の資料館)が痛々しい姿をさらしている。昭和初期の学校建築様式を残す建築物として市指定重要文化財になっているが、軒が崩落して雨漏りしている場所も。財政難も影響して本格的な修復のめどは立っていない。

 旧三崎小学校城ケ島分校は1931(昭和6)年に建造され、70年に三崎小へ統合されるまで児童たちの学びの場だった。市は87年に、木造平屋建て約400平方メートルのうち教室側の約250平方メートルを重要文化財に指定した。

 廃校後は公民館に転用され、現在は海の資料館として、県指定有形民俗文化財の城ケ島漁労用具コレクション657点を保管・展示している。

 しかし、建物の老朽化が進んでおり、玄関の入り口はシャッターが破損したためベニヤ板で閉鎖され、左脇から出入りする。建物裏側の廊下の屋根は軒が崩落して雨漏りもしている。市教育委員会によると、10年以上前から損傷が目立つようになったという。

 この問題を12日の市議会本会議で取り上げた小林直樹氏(共産)は「雨漏りの放置自体好ましくない」と指摘し、早急な修復を求めた。これに対し、増井直樹教育部長は「通常の修理をすると文化財としての価値を損ねてしまう。慎重に対応する必要がある」と答えるにとどめた。

 担当の文化スポーツ課によると、財政的な問題があり、修復費用の試算も出していないという。同課は応急的に入り口部分を本年度中に直す予定で、屋根についても「雨が中に入らないよう工夫したい」としている。

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