三菱ガス化学株式会社の計画する新潟市北区での水溶性天然ガス新規開発を検討する専門家会議が開催

「新潟地域における水溶性天然ガス新規開発による環境影響検討会 第1回」の様子

新潟市北区において三菱ガス化学株式会社(東京都千代田区)が計画している、水溶性天然ガス生産施設の新規開発を受けて、新潟県は15日、地盤沈下などの環境影響について専門家から意見を聞く検討会を開催した。

新潟県内の平野部では1950年代後半、水溶性天然ガスの採取に伴う地下水の汲み上げにより地盤沈下が生じ、1973年10月以降は水溶性天然ガスの新規採掘を全面禁止。またすべての地上排水の禁止やガス付随水の全量地下還元が実施され、地盤沈下は沈静化した。

一方で、地盤沈下を起こさずに水溶性天然ガスを採掘する技術の模索や実験も行われており、1971年に策定された「地下水総合規制対策」を実施しつつ、地盤沈下を防ぎながらの採取が可能であり、かつガスの需要が認められた場合は、採掘の検討会を設置することとなっている。

これまでにも、株式会社東邦アーステック(新潟市西区)が新潟市西蒲区西川地区における水溶性天然ガスの新規開発を行うにあたり、2016年7月から検討会を実施。検討の結果、今年6月から設備の運用と水溶性天然ガスの生産を開始している。

今回は、三菱ガス化学による東新潟鉱山(新潟市北区)への新たな水溶性天然ガスの生産井と還元井の追加について検討するため、長岡技術科学大学大学院や、新潟大学理学部、災害・復興科学研究所から専門家がweb会議形式で集まった。

検討会では、三菱ガス化学から事業計画について説明したほか、騒音・振動や水質などの環境影響に関する評価項目の選定、そして地盤沈下のシミュレーション結果などが議論された。三菱ガス化学が事前に行ったシミュレーションによると、坑井稼働後の地盤の累積最大変動量は▲1.8ミリメートルとなり、以降はほぼ変化しないという結果になったが、専門家からはシミュレーションにおける入力数値の妥当性などが質問に上がった。

県では今回時間の関係などから解消できなかった質問などを取りまとめ、9月中旬ごろに第2回検討会を実施するほか、専門家による現地視察や、試掘サンプルの検討を通して議論を深めていく。環境影響に関する検討後は、年度内に県産業労働部、創業・イノベーション推進課主導でガスの需要に関して検討する予定だ。

三菱ガス化学は、上記の新規開発の前提条件となる要件を充したと判断されたのちに経済産業省への手続きを経て、地元への説明を実施。計画通りに進んだ場合、2022年下半期から施設建設工事が開始されるという。

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