自己都合退職は会社都合に変更できます!希望退職の対象になったときに確認したいポイントは?

コロナウイルスの影響により、1万人以上の会社で希望退職が募られました。
今までは他人事でも、このコロナ禍でいつ自分が希望退職の対象者となるかわかりません。

今回は、実際に希望退職を言い渡されたときに知っておきたいポイントについて解説します。

希望退職とは?

希望退職とは、主に業績不振などの理由により、あくまでも従業員の意思を尊重し退職を募ることを指します。
一見リストラのように見えますが、リストラと異なるのは「従業員の意思が尊重される」です。

リストラの場合は、業績不振による強制的な解雇、つまり従業員の意思を問わず人員を確保する余裕のない状態です。
希望退職の場合は、まだ従業員の意思を汲める余裕のある「リストラの手前」段階が多く、今後の事業戦略に必要とされる人材の場合は希望退職を断られることもあるのが特徴です。

また、希望退職のもう1つの特徴は、好条件で希望退職が募集されることです。
具体的には、退職金の上乗せや転職先へのあっせんなどです。

業績不振であることに間違いはありませんが、もともと転職を考えていた人やキャリアアップを狙っている人にとっては、いい機会でもあるのかもしれません。

希望退職は断れる?

前述の通り、希望退職は従業員の意思を尊重したうえで行われるため、従業員がノーと言えば会社は退職を強制できません。
しかし、会社に残る決断をしても、以前と同じ業務ができるとは限らず、異動や転勤、また給与を減額される可能性もあります。

では、こうした辞令や給与の変更は許されるのでしょうか?

これは、それぞれの会社の就業規則によって変わります。
そのため、一概にこうであるとはお伝えできませんが、業績不振による人員配置や給与の減額は逃れられないケースが多いでしょう。

しかし、就業規則に記されている条件を下回った場合や、一切賃金が支払えないといわれた場合は、それに応じる必要はありません。
労働契約法では、就業規則で定めた条件を下回る内容は、無効になり、就業規則上の条件が適応されるとあります。
就業規則を下回る条件の場合は、就業規則を改めたうえで、労働者に同意を得る必要がありますが、その際企業側は労働者の意思に反して、賃金の変更は行えません。

「会社に残る」という決断をした場合、さまざまな環境の変化が生じるかと思いますが、労働者の権利を理解したうえで話し合いに応じ、不利益な契約とならないように注意しましょう。

自己都合から会社都合にすることはできるの?

続いて、自己都合退職と会社都合退職の違い、そして抑えておきたいポイントについてお伝えします。

会社を退職する際には、自己都合と会社都合の2種類があります。
自己都合は労働者のキャリアアップや引っ越し、介護や出産など労働者側のライフイベントなどの都合で退職をする場合を指します。

一方で会社都合は、倒産によって解雇せざるを得ない場合や賃金の未払い、またはハラスメントが認められた場合に適応されます。

自己都合退職と、会社都合退職の大きな違いとしては、退職後の失業給付金に係る待遇についてです。
金額や手当をもらうまでの期間、そして給付金をもらい続けられる日数が異なり、会社都合の方が有利な条件となります。

例えば、自己都合の場合、特別な理由がない限り、給付の支給を受けるまで3か月ほど期間を要しますが、会社都合の場合はわずか7日で手当てを受けることができます。

また、金額についても自己都合の場合は最大給付金額が約118万円なのに対し、会社都合の場合はおよそ2倍以上の約260万円が最大支給額となります。
会社都合の場合は国民健康保険税を最長2年軽減することもできます。

このように、できれば労働者側としては会社都合である方が有利になりますが、残念ながら希望退職の場合は「自己都合退職」となります。

しかし、以下の条件を満たしている場合は自己都合を会社都合に変更できる場合があります。

・ 離職の直前半年のうちに、3か月連続して45時間の残業を行った
・ 月100時間または2~6か月平均で月80時間を超える残業を行った
・ 給与の3分の1を超える額が支払い期日までに支払われなかった月が2か月以上あった
・ 賃金が、該当労働者に支払われていた賃金に比べて85%未満に低下した
・ パワハラやセクハラがあった

その他にもさまざまな条件があります。
詳しくは下記PDFをご覧ください。
厚生労働省「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」

また、自分では判断できない場合や、上記の条件に当てはまるが、証拠となる書類はどれを使えばいいのかなどは最寄りのハローワークで相談してみましょう。

今後、不況のあおりによって、難しい判断を迫られることも増えてくるかもしれませんが、法のうえで労働者は守られているということを忘れてはいけません。
「不況だから」という理由で、どんな条件も受け入れないように気を付けましょう。

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