角田裕毅「アプローチ変更がうまくいっている。スプリント形式は新人には厳しいが集中して臨む」F1第10戦プレビュー

 アルファタウリ・ホンダF1の角田裕毅は、2021年F1第10戦イギリスGPにおいて、初めてF1マシンでシルバーストンを走るのを楽しみにしている。しかし、このグランプリは初の試みとしてF1スプリントフォーマットで開催されるため、フリープラクティスでの走行時間が減り、ルーキーにとっては難しいチャレンジとなる。

 フランス、シュタイアーマルク、オーストリアの3連戦において、角田はオーストリアでは予選Q3に進出し7番手を獲得、シュタイアーマルクでは10位入賞を果たした。

2021年F1第9戦オーストリアGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

「フランスからオーストリアにかけての3連戦では、いい点も悪い点もありました。悪かった点は、フランスの予選での大きなミスと、オーストリアでピット入口の白線を越えてしまったことです」と角田はイギリスGPを前にコメントしている。

「一番よかったのはオーストリアでの1戦目で、レースウイーク全体のアプローチを変えたことでした。それまでは、自信があると感じたときやセットアップ変更の直後からプッシュしていました。これはF2までのフォーミュラカテゴリーではうまくいっていましたが、F1では機能していませんし、少なくともこれを試すこと自体に大きなリスクがあります。それに気付いてからは、一歩ずつ前進していくように変わりましたし、フリー走行で徐々に自信を深めて、予選に入ってからプッシュするようになりました。これがうまくいっていますし、エンジニアとのミーティングやマシンに乗る前のウォームアップもやり方を見直しています」

「予選では、オーストリアでの2戦目で今季ベストリザルトを記録しました。FP3でマシンを大きく滑らせてしまった後で少し自信を失っていただけに、予選3回のセッションを通してうまくこなせたことはよかったですし、満足しています」

 角田はオーストリアGP後、レッドブルリンクに残り、ピレリが実施する2022年用18インチタイヤ開発テストに参加した。

アルファタウリ・ホンダの角田裕毅が18インチF1タイヤの開発テスト(レッドブルリンク)

「前戦の後には、レッドブルリンクでピレリタイヤのテストのために走行できました。ルーキーですから、少しでもマシンに多く乗ることが大切なので、よかったですし、面白い仕事でした」

 イギリスGPの舞台シルバーストンでは、FIA-F3、FIA-F2時代での走行経験があり、ある程度の自信があると、角田は語っている。しかしこの週末はフォーマットが変更され、金曜FP1の後に予選、土曜FP2の後にスプリント予選、日曜に決勝というスケジュールになっており、フリープラクティスでの走行時間が2時間しかない。

2021年F1第10戦イギリスGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)がトラックウォーク

「そして、シルバーストンを迎えます。昨年、F2ではフィーチャーレース(距離の長いレース1)で3位に入りましたし、レッドブルリンクのように、F3時代から走行経験がとても多いサーキットです」と角田は言う。

「それらはすべてポジティブな面ですが、悪い面は、今週末に初の試みとなるスプリント予選が土曜に行われるので、F1マシンでの走行経験がないにもかかわらず、予選までのフリー走行が1セッションだけという点です」

「今回は、オーストリアで始めた新しいアプローチがあまり活かせません。FP1の直後に予選があって、そこでいいパフォーマンスをするのは大変だと思います。かなり難しいはずですが、オーストリアのように一歩ずつスピードを上げていけるようにトライしてみます」

「スプリントレースは、誰もが初めてです。FP1と予選の間にはセットアップ変更が可能ですが、その後はほぼ何も変更できません。全員にとってチャレンジングなレースウイークになると思いますが、僕は自分自身のことにフォーカスして、できる限りしっかりと準備して臨みます」

「F1マシンでシルバーストンの高速コーナーを走るのを楽しみにしています。フリー走行が少ないのは厳しいですが、ここ数年で経験を重ねたサーキットであり、その意味ではやや自信があるので、どうなるか見ていきましょう。特に、F1マシンではマゴッツ-ベケッツ-チャペルがどんな感じなのかとても楽しみです」

2021年F1第10戦イギリスGP 2022年型F1マシンとの記念撮影に参加したピエール・ガスリーと角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

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