「波佐見ミュージアム」オープン 歴史学ぶ交流の場に カフェなども

日本家屋を改装して完成した町歴史文化交流館「波佐見ミュージアム」=波佐見町湯無田郷

 長崎県東彼波佐見町の歴史や文化を伝える町歴史文化交流館「波佐見ミュージアム」が同町湯無田郷に完成し、21日にオープンする。同町教委が収集、保管していた史料、文化財など約250点を展示。カフェや休憩スペースも設け、町の歴史を学びながら、町民や観光客らが交流できる。開館日には、オープニングセレモニーや記念講演も予定する。
 ミュージアムは、町が民間の日本家屋を購入して整備。敷地面積は約3600平方メートル。総事業費は約4億1500万円。館長には森田法幸教育長が就く。
 二つある常設展示室は「交流」をキーワードに、町の通史を概観できる。「先史・古代・中世」の展示では、町の豊かな仏教文化を示す石塔物や写経などを紹介。16世紀に天正遣欧少年使節の一員としてローマなどに渡った町出身の原マルチノにもスポットを当てた。「中世・近世・近代・現代」の展示では、町の基幹産業である波佐見焼の成立と発展をたどる。金山採掘による隆盛や歴史学者の黒板勝美、児童文学者の福田清人など町出身の重要人物にも触れた。
 特別展示室では、江戸時代初期の「波佐見青磁」や庶民の器として親しまれた「くらわんか椀(わん)」、海外に輸出された「コンプラ瓶」など波佐見焼を象徴する品々が並ぶ。同町出身の財界人、今里廣記氏(故人)のコーナーも設けた。
 交流スペースでは、コーヒーやケーキを販売するカフェを営業。広い窓から芝生広場を望む開放的な雰囲気で休憩できる。中庭は波佐見焼の原料の陶石と窯の燃料になる松を配置し「波佐見らしさ」を表現した。
 入場無料。開館時間は午前9時~午後5時。毎週火曜日と年末年始は休館。21日のセレモニーでは町の伝統芸能「山中浮立」の披露や佐賀県立九州陶磁文化館の鈴田由紀夫館長の記念講演がある。同館の中野雄二学芸員は「波佐見焼だけではない町の歴史や文化に触れられる施設ができた。ぜひ地元町民や子どもたちに古里のさまざまな面を知ってほしい」と話している。

波佐見町の歴史を紹介する常設展示室

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