【MLB】大谷翔平が自己最多タイ4勝、ダルは安定、菊池は進化… 日本人投手の前半戦を総括

今季はここまで計6人の日本人投手がメジャーで登板【写真:Getty Images】

大谷は初登板で最速162.7キロをマーク、降板後に外野を守った試合も

2021年のメジャーリーグは、エンゼルス大谷翔平投手フィーバーに沸いたオールスターゲームが終了。15日(日本時間16日)のヤンキース対レッドソックスは延期となったがプレーオフ、タイトルをかけた後半戦がスタートする。今季は二刀流の大谷を始め、パドレスのダルビッシュ有、マリナーズ菊池雄星ら計6人の日本人投手がメジャーで登板。前半戦のパフォーマンスを振り返る。

〇大谷翔平投手(エンゼルス)
13試合(13先発)、4勝1敗、67回、46安打、87奪三振、35四球、6死球、防御率3.49

メジャー1年目の2018年に4勝(2敗)を挙げるも、同年秋にトミー・ジョン手術を受けた影響で19年は登板せず。昨年も右前腕部を痛めた影響で2試合登板(0勝1敗)にとどまった。注目の今季初登板は4月4日(日本時間5日)のホワイトソックス戦で、大谷は「2番・投手」で渡米後初の投打同時出場。4回2/3を2安打3失点で勝敗はつかなかったが、最速は101.1マイル(約162.7キロ)。今後に期待を抱かせた。

右手中指にできたマメの影響で2度目の登板は同20日(同21日)のレンジャーズ戦。4回7奪三振無失点も7四死球と制球が乱れた。待望の今季初勝利は同26日(同27日)のレンジャーズ戦。「2番・投手」で先発し、初回に3ランを浴びるなど4点を失うもその後立ち直り、5回を3安打9奪三振で2018年5月20日(同21日)のレイズ戦以来1072日ぶりの白星を手にした。

5月11日(同12日)のアストロズ戦は「2番・投手」で7回を4安打10奪三振1失点と好投。降板後は右翼の守備に就き、右前打の処理をするなどした。“リアル三刀流”を「楽しかった」と振り返った。同19日(同20日)のインディアンス戦でも5回途中2失点で降板後、右翼を守った。フォーシームの最速は95.3マイル(約153.4キロ)止まりで疲労を懸念する声も上がった。

2度のボークに不満の表情、今月7日に節目の日米通算50勝

先発予定だった5月27日(同28日)のアスレチックス戦は“交通トラブル”により登板を回避。バス渋滞のため地下鉄で球場入りし、「DH」で出場した。仕切り直しとなった同28日(同29日)の同カードは6回3安打3失点で今季初黒星。相手打者に死球を与えて大ブーイングを受ける事態になった。

6月4日(同5日)のマリナーズ戦は6回4安打10奪三振2失点で今季2勝目を挙げた。メジャー初の無四球投球だった。同11日(同12日)のダイヤモンドバックス戦では2度ボークを犯して、判定に納得できない表情を見せた。観客の入場制限が撤廃された17日(同18日)のタイガース戦では6回1失点で3勝目。相手のセーフティバントにダイビングする気迫を見せた。

同23日(同24日)のジャイアンツ戦では初の粘着物質検査に笑顔で応じる姿が話題に。同30日(同7月1日)のヤンキース戦はメジャー初の「1番・投手」で登場も、1回を持たずに7失点で降板。5四死球と制球が乱れた。しかし打線が奮起して逆転勝ちを収め、黒星は逃れた。

前半戦最後のマウンドは7月6日(同7日)のレッドソックス戦。今季最長タイの7回を投げて5安打無四球2失点と好投。2018年に並ぶ自己最多タイの4勝目は日米通算50勝目となった。オールスーターゲームでも1イニングをパーフェクトに抑えた大谷。後半戦も、打撃だけではなく投球でも球場を沸かせてくれそうだ。

ダルはメジャー最速で通算1500奪三振、菊池は前半戦で自己最多タイの6勝

〇ダルビッシュ有(パドレス)
18試合(18先発)、7勝3敗、105回、81安打、125奪三振、24四球、7死球、防御率3.09

昨季カブスでナ・リーグ最多勝を獲得した右腕は、新天地でも安定の投球を披露した。4年ぶりに開幕投手を務めた4月1日(日本時間2日)のダイヤモンドバックス戦は5回途中4失点で降板も、2度目の登板となった同6日(同7日)のジャイアンツ戦から、5月23日(同24日)のマリナーズ戦まで9試合連続で2失点以下の投球。4月17日(同18日)と同23日(同24日)のドジャース戦では相手エースのカーショーと白熱の投手戦を演じた(結果は1勝1敗)。

4月30日(同5月1日)のジャイアンツ戦では7回途中12奪三振、5月17日(同18日)のロッキーズ戦では7回を10奪三振の快投。6月3日(同4日)のメッツ戦では6回途中4安打2失点で6勝目を挙げ、西武の松坂大輔投手、楽天や巨人でプレーした岩隈久志に並ぶ日米通算170勝目をマークした。「同じ勝利の数、勝利の夜を味わって感慨深いものがある」などと感想を語った。

6月21日(同22日)のドジャース戦では6回を2安打11奪三振1失点で7勝目。田中将大投手(現楽天)に並ぶ日本人3位タイのメジャー通算78勝目、MLB史上最速となる通算197試合目での1500奪三振を達成した。ただ、今月8日(同9日)のナショナルズ戦は3回8安打6失点で降板。同11日(同12日)に左股関節の炎症で10日間の負傷者リストに入った。オールスターのメンバーからも外れた右腕。回復具合が注目される。

〇菊池雄星(マリナーズ)
16試合(16先発)、6勝4敗、98回1/3、73安打、98奪三振、34四球、1死球、防御率3.48。

2019年は6勝11敗、防御率5.46。昨年は2勝4敗、防御率5.17。過去2年間の鬱憤を晴らすかのように前半戦は躍動した。開幕直後は白星に恵まれなかったが、4月29日(日本時間30日)のアストロズ戦で7回を1安打7奪三振無失点の快投で今季初勝利。地元紙も「移籍後最高の登板」と絶賛した。

5月11日(同12日)のドジャース戦では白星は付かなかったが自己最多の11三振を奪った。同24日(同25日)のアスレチックス戦では7回途中1失点で2勝目を挙げ「今シーズンで一番のストレートが投げられた」と自画自賛。3勝目を手にした同30日(同31日)のレンジャース戦は7回途中2失点で6試合連続クオリティスタートをマークした。

6月も好調を持続し、18日(同19日)のレイズ戦は7回1失点で4勝目。25日(同26日)のホワイトソックス戦も6回途中1失点で5勝目をマークすると、7月1日(同2日)のブルージェイズ戦では7回1失点でメジャー自己最多タイとなる6勝目を早くもマーク。速球は自己最速を更新する99マイル(約159.3キロ)を計測した。登板機会はなかったもののオールスターの雰囲気を肌で味わった左腕。後半戦もさらなる飛躍が期待される。

澤村は無傷の4勝、巻き返しを期す前田

〇澤村拓一(レッドソックス)
35試合(35救援)、4勝0敗、0セーブ、6ホールド、36回2/3、27安打、43奪三振、18四球、1死球、防御率2.45

ロッテから海外FA権を行使して今季レッドソックスに入団。4月2日(日本時間3日)のオリオールズ戦でメジャー初登板を果たし、1回を無失点に抑えた。高速スプリットを武器にデビューから5試合連続無失点を記録し、同23日(同24日)のマリナーズ戦で1回1/3を無失点に抑えてメジャー初勝利をマークした。

アレックス・コーラ監督の信頼を得た右腕は、その後も大事な場面で登板。回跨ぎもこなせるタフネスぶりで、6月は12試合に登板して失点した試合は3試合のみで3勝をマークした。7月も7日(同8日)のエンゼルス戦から3試合連続無失点を続けている。

〇前田健太(ツインズ)
14試合(14先発)、4勝3敗、67回2/3、72安打、71奪三振、23四球、3死球、防御率4・66

ツインズ移籍1年目の昨季は11試合で6勝1敗、防御率2.70。ナ・リーグのサイ・ヤング賞投票で2位に入るなど存在感を示した。今季は4月1日(日本時間2日)のブルワーズ戦でメジャー初の開幕投手を務め、5回途中2失点。続く7日(同8日)のタイガース戦で6回2失点で初勝利を挙げるも、なかなか状態は上がらなかった。

同21日(同22日)のアスレチックス戦は3回7失点。5月3日(同4日)のレンジャーズ戦は6回無失点で2勝目を挙げるも、以降の3試合はいずれも5回以内に降板。同23日(同24日)に右内転筋の張りで負傷者リスト入りした。右腕に痛みも発生して投球再開まで時間を要したこともあり、4年ぶりにマイナーの試合にも登板。6月14日(同15日)のマリナーズ戦で復帰してからの成績は5試合で2勝1敗、25回、32奪三振、防御率3.60。7月登板の2試合はいずれも無失点に封じており、後半戦の巻き返しが期待される

試練の有原、5月末に右肩動脈瘤の手術を受ける

〇有原航平(レンジャーズ)
7試合(7先発)、2勝3敗、28回2/3、32安打、17奪三振、12四球、2四球、防御率6.59

日ハムからポスティングシステムを利用してレンジャーズに入団。オープン戦は4試合で0勝1敗、防御率3.84の成績を残し、4月3日(日本時間4日)のロイヤルズ戦でデビュー。5回を6安打3失点で勝敗はつかなかった。

初勝利は3度目の登板となった同14日(同15日)のレイズ戦で、5回2/3を3安打無失点の好投。19日(同20日)のエンゼルス戦も5回2/3を2安打無失点に抑えて2勝目を挙げた。かつての同僚・大谷を2打数無安打に封じた。

しかし、25日(同26日)のホワイトソックス戦は5失点で2敗目、30日(同5月1日)のレッドソックス戦も3回途中6失点と打ち込まれて連敗を喫した。そして、4回途中6安打5失点の乱調だった5月8日(同9日)のマリナーズ戦後に戦列を離れ、同27日(同28日)に右肩の動脈瘤(りゅう)の手術を受けた。今季中の復帰は微妙だ。(Full-Count編集部)

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