【新型コロナ】「まん延防止」神奈川32市町に拡大 独自の緊急宣言発出

「神奈川版緊急事態宣言」の発令を決めた黒岩知事=16日午後、県庁

 県内の新型コロナウイルス感染者急増を受け、神奈川県は16日、対策本部会議を開き、「まん延防止等重点措置」の対象区域を22日以降、現在の4市(横浜、川崎、相模原、厚木)から感染者数が極めて少ない清川村を除く32市町に拡大することを決めた。黒岩祐治知事は「まさに緊急事態に入った」と危機感を示し、県独自の「神奈川版緊急事態宣言」を発出した。重点措置は8月22日まで。

 県内の新規感染者数は2日連続で1日400人を超え、今月14日には人口10万人当たりの週合計が25人を上回るステージ4(爆発的感染拡大)に悪化。22日から4連休に入るほか、夏休みの人流増加、感染力の強いデルタ株の拡大などを踏まえ、強力な人流抑制策が必要と判断した。

 22日以降は飲食店などに対し、対象区域では午後8時までの時短営業とともに、酒類提供の終日停止を要請する。12日からマスク飲食実施店に限って酒類提供を認め、認証の申請数が急増していたが、例外なく停止を求める。一方、区域外の清川村では同9時までの時短営業を要請。酒類の提供は、1組4人以内、滞在90分以内などの条件付きで同8時まで認める。

 協力金は売り上げ状況に応じて算出し、中小企業が1日3万~10万円(区域外は2.5万~7.5万円)、大企業は1日上限20万円。また、要請期間(7月12日~8月22日)の協力金については一定の条件を満たせば早期に一部(1店舗70万円)を先行交付する。

 黒岩知事は「(感染拡大は)今年初めの緊急事態宣言時に匹敵するほど急速。この状況が続けば今月末には一気に病床が逼迫(ひっぱく)する事態が見込まれる」と強調。23日開幕の東京五輪は自宅で家族など少人数で応援するよう呼び掛けた。

 県は政府への緊急宣言発出の要請も検討していたが、知事は「重点措置の中で宣言とほぼ同じ内容のことができる。まずはやってみて、ステージ4の指標が広がれば政府に要請する」と語った。

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