「県民フェリー」目指す 宮崎カーフェリー・郡司行敏新社長に聞く 環境へ配慮 PRにも力

 ぐんじ・ゆきとし 九州大大学院修了後、1981(昭和56)年に県庁入り。農政水産部長などを歴任、2017年から副知事を1期4年務めた。県の出資に伴い18年から宮崎カーフェリー社外取締役に就き、6月から現職。宮崎市出身。64歳。

 宮崎-神戸航路を運航する宮崎カーフェリー(宮崎市)の新社長に就任した前副知事の郡司行敏氏(64)に、新型コロナ禍の業績への影響や、来年の就航を目指す新船2隻に対する展望を尋ねた。
 
 -就任した感想は。

 「農業が基幹産業である本県で、農作物をお金にするには大消費地へ運ぶ必要がある。都市圏から遠隔地にある本県にとってフェリー航路はいわば『経済の生命線』。その運営を担うことは大変な重責で、身の引き締まる思い」

 -コロナ禍の影響をどう回復させるか。
 
 「20年度は4億9800万円の営業赤字となった。コロナ禍で冷え込んだ旅客、貨物需要の早期回復が最初の大仕事になる。収束に備えて企画やアイデアを用意すると同時に、来県者向けのPCR検査費を助成する県の事業もうまく活用するなど、今できる工夫に取り組んでいく」
 
 -新船が就航する。環境への配慮も求められる。
 
 「トラックの積載台数が増えるので、神戸からの下り荷確保へ新規営業先の開拓などにも取り組みたい。カーフェリーの二酸化炭素排出量はトラックによる貨物輸送の10分の1という試算もある。新船は最新型のエンジンを採用しており、二酸化炭素の排出量もさらに減らすことができる。持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みが社会全体で進む中、カーフェリーの利用が環境配慮につながることもPRする」
 
 -経営の目標は。

 「国内では8社が長距離フェリー航路を運営する。『安全な運航』『おもてなし』『地域密着度』という三つの視点で日本一を目指す。他社とは異なり大きな資本に属しておらず、地域に支えてもらっている会社。『県民フェリー』としてこれまで以上に県民から愛される船となるよう、荷主様やトラック協会、お客様から信頼を勝ち取りたい」(宮崎市の宮崎カーフェリー本社で)

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