バッハ会長 望まれぬ広島訪問で「裏工作」 被爆者から“対面NG”続出していた

©株式会社東京スポーツ新聞社

平和記念公園で献花したIOC・バッハ会長(ロイター)

驚きの〝裏工作〟とは――。国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(67)は16日に世論の反対を押し切る形で広島訪問を強行し、大きな波紋を広げた。平和記念公園の原爆慰霊碑で献花と黙とうを行うと、周囲のデモ隊から「帰れ!」と罵声を飛ばされ、異様な空気に包まれた。さらに水面下では意外な人たちから「NG」を出されていたことも発覚。ついに〝ぼったくり男爵〟は日本中を敵に回したようだ。

バッハ会長はパトカーに先導され、この日午後1時半に専用車で平和記念公園にやって来た。県と市の職員、警備員、大会組織委員会スタッフなどが多数動員され、公園内は関係者以外の立ち入り禁止。厳戒態勢の中、東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長(56)を引き連れて慰霊碑の前で献花と黙とうをしていると、公園付近のデモを行っていた反対派から「ヒロシマを利用するな!」「命よりカネ。帰れ!」と罵倒され続けた。

VIP待遇でもてなされている要人が怒号を飛ばされるなど前代未聞。原爆資料館で広島県の湯崎英彦知事(55)、被爆者らと面会した後は「世界中の人が広島を訪れるべきだ」とスピーチしたが、この言葉も反対派から「お前が言うな」「なぜ上から目線?」「何さまなんだよ」と猛反発を食らった。結局、質疑応答などの対応は一切なし。わずか2時間弱の滞在となり、資料館を出ると正面入り口でスタンバイしていた専用車に乗り込み、逃げるように去って行った。

東京都が緊急事態宣言下にあるため都道府県間の移動の自粛を求められる中で、五輪主催者トップの広島訪問には、反対の声が飛びかった。地元でも関係者を除けば、お世辞にも歓迎ムードとは言えない。

実は今回、被爆者サイドからも「バッハNG」が出ていたというから驚く。外国の要人が当地を訪問した際は被爆者が立ち会うのが通例。2016年5月にバラク・オバマ米大統領(当時)が訪れた際、被爆者の手を握って抱き寄せたシーンは記憶に新しい。

しかし、今回は状況が違った。内情を知る広島市内の関係者は「多くの被爆者が実際にバッハ会長を拒否していた。接見可能な被爆者を行政が必死に探し、何とか体裁を保ったようだ」と明かす。面会時にバッハ会長を批判するような被爆者を選ぶわけにもいかず、あえて波風を立てない人との面会をセッティングする〝裏工作〟を行っていたわけだ。また別の関係者も「長い間、原爆の運動に取り組んできた人ほどバッハには抵抗があった。こんなに嫌われた訪問者は今までいない」と指摘した。

新型コロナウイルス禍で五輪の1年延期が決定以降、国内の〝バッハ株〟は暴落の一途。今年4月に緊急事態宣言について「東京五輪とは関係ない」と発言すると一斉にバッシングされ、米有力紙「ワシントン・ポスト」から〝ぼったくり男爵〟と異名をつけられた。さらに5月には五輪開催のために「全ての関係者は犠牲を」と発言して集中砲火を浴び、極め付きは先日の組織委・橋本会長との面会の場で「最も大事なのはチャイニーズピープル…」と、日本人と中国人を間違えるミスを犯した。

口を開くたびに反感を買い続け、気づけば味方は極めて限定された〝身内〟だけとなっている状況が、今回の広島訪問でも改めて浮き彫りとなった。五輪開幕まで1週間を切ったにもかかわらず、この冷え切ったムード…。最大の原因はコロナ禍であることは言うまでもないが、IOCトップの言動も大きく影響している。