「平和の使命 再確認」 IOC コーツ氏 原爆資料館など視察

国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館で被爆資料の説明を受けるIOCのコーツ調整委員長(中央)=長崎市平野町

 国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ調整委員長は16日、被爆地の長崎市を訪れ、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館(平野町)で献花をして犠牲者を悼んだ。スピーチでは「平和の使命を再確認し、平和の街としての長崎に敬意を払う。東京五輪・パラリンピックは、よりよい、より平和な未来への希望の光となるだろう」と宣言した。
 国連で採択された「五輪休戦決議」の期間初日に合わせて訪問。日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長らが同行した。
 同祈念館に先立ち、長崎原爆資料館(同町)も視察。案内した篠崎桂子館長によると、コーツ氏は被爆前の街並みを撮影した写真を見ながら、「浦上天主堂はどこですか」などと質問。爆心地付近で焼死した「黒焦げの少年」の写真や、放射線の影響に関する展示にも関心を持っていたという。
 中村法道知事と田上富久長崎市長とは20分ほど懇談した。田上市長によると、資料館を見学したコーツ氏は「これまである程度のことを知っているつもりだったが、実際に自分の目で見て、多くのことを知ることができた」と感想。その上で「平和という共通の目的のために力を合わせなければならない」との決意を伝えたという。
 田上市長は、コーツ氏に、多くの人に被爆地の広島、長崎を訪れてもらえるよう発信を求めたとして「少しの時間でも話をして、思いを伝え合えたことは有意義だった。発信を含め、今後につながることはあったと思う」と述べた。

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