<レスリング>2021年東京オリンピック/女子62kg級展望(8月3・4日実施)

 

《エントリー選手》

《第1シード》アイスル-・チニベコワ(キルギス) / 《第2シード》タイベ・ユセイン(ブルガリア) / 《第3シード》川井友香子(日本)、《第4シード》カイラ・コリーン・ミラクル(米国)


2019年世界選手権の表彰式。左からタイベ・ユセイン(ブルガリア)、アイスル-・チニベコワ(キルギス)、川井友香子、ヘンナ・ヨハンソン(スウェーデン)。東京でも金メダルを争うか

 男女を通じてキルギス初の世界チャンピオンに輝いたアイスル-・チニベコワ(キルギス)が、同国初のオリンピック・チャンピオンに挑む。コロナ禍のあとだけで5つの国際大会に出場し、すべて優勝という安定ぶりだ。

 キルギスは1996年アトランタ大会からオリンピックに参加し、全競技を通じてメダリストは4人(レスリング3人、柔道1人)。最高は2008年北京大会の銀メダル(カナトベク・バガリエフ=男子グレコローマン66kg級)。2012・16年大会はメダルなしだったので、世界チャンピオンとして臨むチニベコワへの期待は大きい様子。

 チニベコワに最後に土をつけたのが、2020年2月のアジア選手権での川井友香子。2019年のアジア選手権と世界選手権で敗れていただけに、貴重な白星を挙げた。もっとも、3試合とも押されていた選手の手が最後に上がるという内容。実力は紙一重と言える。コロナ禍後の実戦の数が、どう影響するか。

 2018年世界選手権決勝で川井友香子を破ったタイベ・ユセイン(ブルガリア)は、2019年世界選手権決勝はチニベコワにラスト10秒で逆転負けした。その後は2度の欧州選手権で優勝を逃すなど今ひとつだったが、今年6月の「ヤシャ・ドク国際大会」(トルコ)で優勝。調子を取り戻せるか。

 2019年世界選手権で川井とともに3位だったヘンナ・ヨハンソン(スウェーデン)は、65kg級がベスト階級の選手。今年2月の「ウクライナ国際大会」と6月の「ポーランド女子国際大会」は同級で優勝している。体重調整が課題か。

急成長を見せているカイラ・コリーン・ミラクル(米国)=2017年ワールドカップ

 65kg級で2019年世界選手権2位のイリナ・コリアデンコ(ウクライナ)が階級を下げて欧州予選で優勝。続いての欧州選手権でも優勝した。62kg級でも十分に力を発揮しそう。他に、2019年世界選手権59kg級2位のリュボフ・オフチャロワ(ロシア)、2019年欧州大会68kg級優勝のアナスタシア・グリゴルイェワ(ラトビア)ら、別の階級で実績のある選手の闘いぶりはどうか。

 2019年に世界選手権8位・U23世界選手権2位のカイラ・コリーン・ミラクル(米国)は、今年1月の「アンナ・デグラナ国際大会」(フランス)と5月のパンアメリカン選手権を制して実力を見せている。

 オリンピックは4度目となるマリアンナ・サスティン(ハンガリー)マルワ・アムリ(チュニジア)がベテランの味を発揮するか。サスティンは今年4月の欧州選手権2位と実力をキープ。リオデジャネイロ大会でアフリカ女子初のメダリストとなったマルワも、アフリカ予選を順調に勝ち上がってきた。


川井友香子と主な強豪選手の対戦成績

Tynybekova, Aisuluu A(キルギス)

2020年 アジア選手権 ○ 6-1 ● Tynybekova, Aisuluu A

2019年 世界選手権 ● フォール、4:18=3-3 ○ Tynybekova, Aisuluu A

2019年 アジア選手権 ● 6-8 ○ Tynybekova, Aisuluu A

Yusein, Taybe Mustafa(ブルガリア)

2018年 世界選手権 ● 2-6 ○ Yusein, Taybe

Sastin, Marianna(ハンガリー)

2018年 世界選手権 ○ 2-1 ● Sastin, Marianna

Miracle, Kayla-Colleen(米国)

2018年 ワールドカップ ○ Tフォール、4:59=12-1 ● Miracle, Kayla-Colleen

Grigorjeva, Anastasija(ラトビア)

2016年 クリッパン女子国際大会 ● 0-9 ○ Grigorjeva, Anastasija

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