省エネ電車や空調温度適正化で前年より5%節電 東京メトロが今夏の使用電力量削減目標

省エネ性能に優れた有楽町線・副都心線用17000系電車(写真手前)

東京メトロは今夏、2020年比5%の使用電力量削減の目標を設定し、全社規模で節電に取り組む。東京メトロは、「安全安心で持続可能な社会の実現」を企業目標に掲げており、節電に成果を挙げることで、社会レベルでの「気候変動の緩和」に貢献する。

東京メトロは、東日本大震災による一部発電所の稼働停止などで電力需給が逼迫した2011年夏から、継続的に節電に取り組んできた。経済産業省の電力需給見通しによると、一部火力発電所の稼働停止などで電力需給は慢性的に余裕のない状態にあり、2021年7~8月の余裕率を表す予備率は3.7%~3.8%で、綱渡り状態が続く。

こうした状況を受け、東京メトロは節電目標を再設定。2021年5~10月の6カ月間の鉄道事業関係で、前年の同期間に比べ使用電力量を5%削減するとした。

具体的な節電策では、本社や現場事務所で、室温の適正管理や照明の消灯を一層徹底するが、それにも増して効果が期待できるのが、省エネ性能に優れた新型電車の投入だ。

2021年は有楽町・副都心線に約45年ぶりの新型車両・17000系が登場。省エネのポイントは高効率な永久磁石同期電動機とシリコンカーバイド(SiC)素子を利用した制御装置で、永久磁石同期電動機は高効率で小形・軽量化が可能。SiC素子は、放熱用ヒートシンクを小型化できるので、省エネにつながる。

このほか駅関係の省エネでは、2021年5月に千代田線北綾瀬駅に太陽光発電システムを増設。発電量が従来の1.6倍に増強されている。

文:上里夏生

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