オンラインでも“対面”の臨場感 「完全ハイフレックス型」授業環境構築 長崎大・小林教授ら

完全ハイフレックス型授業でグループ討議をする社会人ら=長崎市文教町、長崎大ICT基盤センター

 長崎大ICT基盤センターの小林透教授らの研究グループは、IT先端技術を使って「対面」と「リモート(オンライン)」の授業を組み合わせた「完全ハイフレックス型」の授業環境を構築し、対面とオンラインが同時進行するグループ討議が可能になった。受講者のヘッドホンの片側からオンライン参加者の声、もう一方から対面で話している人の声を聞くことで、全員がそばにいるような臨場感を実現した。
 「完全ハイフレックス型」の授業は6月に始まった同大の社会人向け「IT先端技術応用講座」(県委託事業)で導入している。
 同月29日の講座には5人が教室で、11人がオンラインで参加。5グループに分かれ、それぞれに大型モニター、音声ミキサー、ヘッドセットを用意し、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を活用してグループ討議した。特殊なマイクを使うために他のグループの声は混入せず、ハウリングもなかった。受講した長崎市の会社員、長門石みほさん(31)は「オンライン参加者と、対面と同じような感覚でコミュニケーションできた」と話した。
 同大では、学生が自在に対面かオンライン授業かを選択できる完全ハイフレックス型授業の導入を視野に入れている。新型コロナウイルス感染拡大を受けて昨年からオンライン授業が定着。一方で、グループワークは飛沫(ひまつ)による感染リスクがあるため、ほとんどできなくなっていた。
 小林教授は「大学では学生同士が討議して新しいアイデアなどを生み出す活動が重要。コロナ禍であってもハイフレックスでできるようになり、喜ばしい」と話した。

© 株式会社長崎新聞社