【荒川線沿線】三ノ輪商店街「都電屋」で日本の鉄道のロマンを満喫

鉄道ファンなら行っておきたい東京のカフェ

東京の浅草の近く、都電荒川線の三ノ輪橋駅のそばに、昭和の雰囲気漂う商店街「ジョイフル三之輪」があります。一歩足を踏み入れると右側には、今回の主役「都電屋」が登場。

日本風の外観の「都電屋」は、カフェ、ホテル、サイクルジムを営んでおり、数多くのレアなお宝もある場所です。

店頭には精密な鉄道模型と、古い時代の鉄道路線図が飾られています。ここでは子どもたちがよく足を止め、遊んでいる様子もあります。カフェの営業は11:00から21:00まで。ランチ、ティータイム、ディナー、いつでも利用できます。

「電車」モチーフの店内

カフェ店内のインテリアや雰囲気、メニューには多くの工夫がみられます。まず目に入ってくるのが、一番奥に掛けてある大型スクリーン! スクリーンにはヨーロッパ各国の鉄道の車窓が映し出されています。

映し出された美しい風景を見ていると、心の中はヨーロッパへひとっ飛び。「いつかヨーロッパ一周の旅を鉄道でしてみたい……」そんな夢が膨らんできます。バーの上には路面電車の模型もありました。

目利きの鉄道ファンなら、上の写真の椅子が普通のカフェと少し違うことに気づくでしょう。なんと、店内の椅子の一部に本物の鉄道車両の椅子を使っているんです!

ちなみに写真の左の赤い椅子は、小田急ロマンス号NSE3100形の椅子、右側の灰色の椅子は都電7000形のものです。この2台の列車はすでに廃車になっているため、この椅子に座ってコーヒーを飲むなんて、鉄道ファンにとっては「特等席」で飲むような気分ですね。

店内の壁には、今では姿を消してしまった特急列車、駅名、行先表示の標識が掲げられています。鉄道ファンにとって懐かしさが感じられる、ワクワクする部分です。

オススメメニューは「三ノ輪バーガー」

都電屋の看板メニューは、ご当地バーガーとも呼ばれている「三ノ輪バーガー」です。

健康面も考慮した全粒粉入りの小麦粉で作ったバンズに、新鮮な野菜とジューシーなハンバーグが挟まれています。その大きさは、「どう手をつけて食べたらいいだろう」と思うほど。カリカリのフライドポテトも添えられ、とてもリーズナブルです。

生まれながらの鉄道ファン!オーナーの藤田さん

このカフェの店主は、今年で76歳になる藤田孝久(ふじた たかひさ)さん。藤田さんは「生まれた時から鉄道ファン」と話すほどの熱い心の持ち主です。生まれも東京で、幼少期は今でいう秋葉原駅周辺で過ごしました。

藤田さんが住んでいたころの秋葉原駅は、まだ貨物列車が停まる駅でした。幼いころの藤田さんは、大きな音をたてて通る貨物列車も泣かずに見ていたそうです。その後は戦災を避け新潟へ疎開。戦後に都電荒川線沿線へ移り住み、今に至ります。

以前は公務員だった藤田さん。日本初の“鉄道専門店 兼 鉄道交流館”を開きたいと思い、思い切って公務員を辞めました。しかし、不動産仲介会社が倒産してしまい計画は頓挫、その後も2度出店に挑戦しましたが、トラブルの連続だったといいます。

そして、4度目のチャレンジで夢を叶え、2019年4月に「都電屋」をオープンしたのです。

宝物のような歴史ある鉄道関連の書籍

店内の本棚には鉄道関連の書籍がたくさん並んでいます。写真の「新幹線丹那隧道研究會記錄(しんかんせんたんなすいどうけんきゅうかいきろく)」は、表紙に昭和17年と書かれていました。西暦でいうと1942年ですから、かなり古いことが分かりますね。

本書は、当時の路線計画の研究や、地形、地質などの資料が記載されており、鉄道史においても非常に貴重な史料です。

藤田さんはJRの前身である国鉄と時刻表が大好き。日本で初めての鉄道時刻研究の専門書「時刻表大研究」を、鉄道仲間と一緒に出版しています。本棚にも多くの時刻表関連の本が並んでいました。

下町に宿泊しよう!

「都電屋」の2Fは、6人部屋が1部屋、2人部屋が3部屋のホテルになっています。ベッドは全て高級ブランド「フランスベッド」のマットレスを使用。デザインは和風で、欧米の訪日観光客にとても人気があります。

6人部屋にはダブルベッド2台のほかに、和室もあります。この部屋は、日本の鉄道系ユーチューバー「スーツ」が 、銚子電鉄の社長との対談撮影に使用した部屋でもあります。

2人部屋もかなり広くて快適。料金もお手ごろで、予約サイトでも高評価を得ています。立地は東京メトロ日比谷線の三ノ輪駅から近く、東京観光の拠点としても最適です。

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3Fにはジムも。 「サイクルジム三ノ輪」

「都電屋」の3Fはサイクルジムになっていて、実際にロードバイクに乗ったり、ローラートレーナーを使ったりして運動ができます。オンライン自転車競技システムも搭載し、前方のスクリーンでは実際の競技道路の走行シーンが見られるなど、斬新で面白いフィットネス施設です。

また、汗をたくさんかいても大丈夫! 3Fにはシャワールームも完備しています。

ジムの詳細は公式HPをご覧ください(日本語のみ)

東京の新しい一面を「都電屋」で体験

実は、筆者も鉄道ファン。ファンのレベルは及びませんが、藤田さんのお話を聞いていると「その感じ、わかる!」と共感することがたくさんありました。好きな鉄道の話では目をキラキラと輝かせて話してくれる、とても素敵でユーモアのある鉄道ファンの大先輩です。

「都電屋」は藤田さんの夢の場所です。ぜひ立ち寄って日本の鉄道の貴重な史料を見ながら、ひとあじ違った下町の風情を楽しんでください。

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