葉山発、世界で最も地球に優しいスポーツ ごみ拾い得点競う「スポGOMI」が 文科大臣科学技術賞

「これからもスポGOMIを楽しく広げたい」と話す馬見塚さん=葉山町の森戸海岸

 時間内に拾ったごみの種類や量をチームで競う「世界で最も地球に優しいスポーツ」の「スポGOMI」が、文部科学大臣科学技術賞を受賞した。考案した神奈川県葉山町在住の馬見塚(まみつか)健一さん(53)は「今後ももっと活動を広げたい」と前を向いている。

 スポGOMIは誰でも、どこでも参加できる大会だ。集めたごみは分別し、100グラム当たり燃えるごみは10ポイント、たばこの吸い殻は100ポイントなど、種類ごとの得点を競う。多世代で気軽に参加できるのが特徴だ。

 きっかけは横浜に住んでいた2007年、毎朝のランニングだった。観光スポットを走り、ごみの多さが気になった。「10メートル先の弁当箱までスピードを落とさず走ろうとか、ルールを決めると楽しかった」

 ごみ拾いを競技にすれば楽しく参加してもらえるのではと、翌年には東京・渋谷で初大会を開き、反響があった。回を重ねるごとに「やってみたい」と自治体や学校などから誘いが増え、授業や地域交流などで開いた大会は気付けば千回以上に。参加総数は10万人を数えた。海外からもオファーがあり、6カ国で開催。「ロシアの大会では参加者が粗大ごみをどんどん運んできて、100人で1トンも集まった」と笑う。

 やり始めは「ふざけた社会貢献」と言われ、悔しい思いもしたという馬見塚さん。続けるうち、思いもしなかった反響が広がった。大会後に子どもたちが自主的にごみを拾うようになったり、引きこもりがちだった子が積極的に参加してくれたり。「参加して心に何か残れば嬉しい」と実感している。大学教授や専門研究員の調査で、そうしたスポGOMIの教育効果などが評価されたことが、表彰につながった。

 緊急事態宣言時など大会を開けない時期もあったが、感染対策をしながら継続。葉山では16年から森戸海岸で葉山元町商店会と大会を開き「世代や団体の垣根を越えて楽しむ最高の形が葉山にある」。「みんなで楽しみながらまちもきれいにする輪を広げたい」

© 株式会社神奈川新聞社