<レスリング>「いくら研究されても、攻撃できる練習をやってきた」…笹山秀雄・女子強化委員長(自衛隊)

 

Zoomで取材に応じた笹山秀雄・女子強化委員長

 東京オリンピックの女子監督を務める笹山秀雄・女子強化委員長(自衛隊)が7月17日、オンラインで報道陣の取材に応じ、「(オリンピックを)やるか、やらないか分からないときは、不安があったようだが、やるとなって気合の入り方が違っている。いい練習ができている」とチームの現状を報告した。

 目標は「全員が金メダル」だが、現実問題として、全階級優勝が簡単にいくとも思っていない。2012年ロンドン大会、2016年リオデジャネイロ大会と、2大会続いてメダルの取れなかった階級があったので、「全階級でメダル獲得」を最低の目標とし、その中で金の数を上積みしていく腹積もりだ。

 吉田沙保里、伊調馨という圧倒的な存在だった選手なしで臨む初めて挑むオリンピック。それを問われると、「特に変わったことはない。川井(梨紗子)、土性(沙羅)というオリンピックで金メダルを取った選手は2人いて、2人がチームを盛り上げている」と、新たなエースがチームを支えていることを強調した。

 ビデオで出場選手の戦力分析もしっかりやっている。「50kg級はアゼルバイジャン…」などと、各選手の強敵となる外国選手を挙げながらも、「細かいことをやりすぎて、調子を崩す選手もいる。今までやってきた基本をしっかりやって臨む」と話し、対戦相手を過度に警戒することなく、自分の力を出し切らせることを主眼に置く。

 「(海外から)いくら研究されても、攻撃できる練習をやってきた。守りを強くしても、接戦になるだけ。タックルで攻め、相手をばてさせてさらに攻める基本をチェックしていく」。ただ、そのために必要なスタミナに関して、コロナの影響もあって十日町での坂道ランニングなどができず、「不安がまったくない」とは言い切れない表情。

 それでも、4月のアジア予選で、久しぶりの国際大会だった須﨑優衣(早大=50kg級)が圧倒的に勝ったのを見て、「安心した。自分のレスリングをやれば(日本選手は)強い、と感じた」と話し、特別な不安を持たずにオリンピックを迎えられそうだ。

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