【追う!マイ・カナガワ】夏本番…どんどんたまる保冷剤 再利用の方法はないの?

 お店で冷蔵品や冷凍品を購入すると付けてくれる保冷剤。梅雨明けを迎え、暑い夏に需要は高まるばかりだ。エコやリサイクルが推奨される昨今、この保冷剤を再利用できないものかとの疑問が、横浜市旭区の女性(55)から「追う! マイ・カナガワ」取材班に寄せられた。「使い捨てでは無駄を感じてしまうのは私だけ?」という投稿に、「貧乏性」で冷蔵庫に何十個もの保冷剤が眠る記者も共感し、有効活用の手段を探ってみた。

◆無害だけど「開封は…」

 中身を出せば芳香剤や消臭剤、園芸用の保水剤、洗剤の代わりにもなる…。保冷剤の再利用で検索すると、インターネット上には多様なリサイクル方法の情報が飛び交っている。

 ただ、「食べられません」などと書かれている保冷剤を開封し、中身をこんな風に使って大丈夫なのだろうか。製造会社に聞いてみた。

 小田原漁港近くで保冷剤を製造販売する「共同冷蔵」は1966年設立の冷蔵倉庫会社だ。かまぼこなどおせち商材の製造メーカーが多く立地する小田原。閑散期の夏場にできるビジネスはないかと社員で知恵を出し合い、約10年前に保冷剤製造を始めたという。

 堀俊一社長(60)によると、同社の保冷剤の成分は水98.98%、紙おむつなどで用いられる吸水性ポリマー1%、防腐剤0.02%。防腐剤の含有量もバターなどに含まれるものと同程度で無害という。それでも「開封しての再利用は推奨しません。子どもやペットが口にしてしまうといけないので開封は控えて」と呼び掛ける。

 無害と聞き、意外な気もしたが、詳しく調べてみると、過去には各メーカーの保冷剤に毒性成分が使われていた時代もあったが、誤飲事故発生などを受けて、今では人体に害のない成分に変わったようだ。

◆熱中症対策にアイデア商品

 では、どのような再利用がいいのか。堀社長は「弁当の保冷」などの王道の答えに加えて「熱中症対策にも有効ですよ」と教えてくれた。同社は2年前に熱中症対策グッズ「冷えゾウくん」を発売。保冷剤を入れて体を冷やすベストやリュックで売れ行きは上々という。同社の保冷剤は社内テストで50回以上は使用可能で、「袋が破れたり、中身が漏れ出してこない限りは使える」とのことだ。

 一方、取材を進める中で、思いもしなかった使い道があると分かった。海外へ寄付ができるというのだ。使わなくなった物品を発展途上国などに送っているNPO法人ワールドギフト(大阪市鶴見区)は、使用済みの保冷剤の寄付も受け付けている。担当者によると、寄付する人は段ボール1箱当たり3千円程度の寄付金を払う必要があり、「あまり需要のあるものではないので、大量に送られても困る」ものの、他の物資のついでであれば引き取り可能とのことだった。

◆取材班から

 堀社長は再利用について「やはり何かを冷やす使い方が理にかなっている」と強調していたが、記者も日焼けした体を冷やすなど、使える限り有効活用したい。含有成分は無害とはいえ、ポリマーは吸水性が高く子どもやペットが誤飲したら事故にもつながる。開封は避けた方がよさそうだ。

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