前年王者に果敢に挑むも一歩及ばず…悔しさ見せるWedsSport国本&宮田とヨコハマタイヤが得た大きな手応え【GT500決勝あと読み】

 白熱したトップ争いで盛り上がった2021スーパーGT第4戦もてぎのGT500決勝。特に後半スティントでは前年王者のSTANLEY NSX-GTの山本尚貴に対して、果敢に攻めていったWedsSport ADVAN GR Supraの宮田莉朋だが、逆転叶わず2位となった。それでも、着実にトップ争いができるようになってきていることに、さらなる意欲をみせていた。

 2番グリッドからスタートしたWedsSport ADVAN GR Supraは、国本雄資がスタートスティントを担当。序盤の数周はペースが上がらなかったが、GT300との混走が始まるところで、STANLEY NSX-GTの牧野任祐を追い抜くチャンスが生まれた。国本が振り返る。

「意外とタイヤのウォームアップが遅くて、最初の5周くらいは、なかなか(グリップが)ピークに来てくれる感じではありませんでした。ちょうど(1号車が)トラフィックのタイミング(7周目)が一番タイヤのグリップがピークにきているところでした」

 その7周目の4コーナーで牧野と国本はGT300の車両に追いつき、トップの牧野のペースが少し落ちたところを見逃さず、国本は5コーナーのブレーキングで仕掛けてトップに躍り出た。

2021スーパーGT第4戦もてぎ STANLEY NSX-GTとWedsSport ADVAN GR Supraのトップ争い

「GT300に4コーナーで引っかかると、どうしても立ち上がりのアクセルオンが遅くなってしまうのが分かっていたので、手前で少し緩めて全開で行けるように立ち上がりました。ここしかチャンスがないと思って、ブレーキングでもかなり奥まで突っ込んで抜かしたという感じです。あそこで勝負できたのが大きかったですね」

 そこからは、温まったヨコハマタイヤのグリップのピークを利用して、GT300も積極的に追い抜いていった国本。一時は4秒近い差を築いたのだが、これに対しSTANLEY NSX-GTは先にピットストップを行いアンダーカット。WedsSportはピット作業で5秒ほどタイムロスする形になり、1号車STANLEYにトップを奪われてしまうことになった。2番手となったWedsSportは後半スティントを担当した宮田が怒涛の勢いでSTANLEY山本尚貴に追いついていった。宮田が振り返る。

「(1号車の)ブリヂストンの方がタイヤの温まりも良いようでしたし、ピットストップも向こうのほうが給油や作業時間が短くて、アンダーカットされてしまいました」

「ピットに関しては、みんなで解決していくものだと思っているので、僕は誰のせいでもないと思っています。今後これからの課題だと思って、克服していかなければないけないなと思っています」

 宮田がピットアウトした当初は5秒近いギャップがあったが、そこから1周1秒近いペースで山本に追いついていき、35周目には1秒以内に接近。90度コーナーなどで何度か横に並びかけようとしたが、チャンピオンを攻略することはできなかった。

2021スーパーGT第4戦もてぎ STANLEY NSX-GTとWedsSport ADVAN GR Supraのトップ争い

■「やり切った成績です」宮田は悔しい表情を見せるも成果あり

「もてぎはやっぱり抜きづらいですし、あとはタイヤ特性ですね。ブリヂストンの強みとヨコハマの弱みが良い具合に出てしまって、ヨコハマの強みが薄れている状態での勝負になってしまいました」

「仮に同じタイミングでタイヤ交換をして、その直後のバトルだったら勝負ができたかもしれませんが、(ピットアウトから)だいぶ時間が経った状態でペースを上げている最中でのバトルでした。向こうの強みに対して僕たちは対抗できなかったです」

「それこそ、国本選手のスティントのように前が引っかかっている状態だったら、勝負できるのですけれど、真後ろからオーバーテイクというのが、なかなか難しい状況でした」

「FCYで300クラスが間に入ってしまって、それが2回とも起きてしまいました。ちょっと差が広がってしまいましたし、最後は温度やコンディションの変化で、ブリヂストンよりも劣ってしまっている部分が出てしまって、なかなか最後は追いつけずに終わってしまいました」

 レース中にはファステストラップを記録するなど、存在感溢れる走りを披露した宮田。あと一歩のところで優勝することができず、マシンを降りた直後は悔しい表情をみせていたが、トップ争いができる位置まで来られたことは、ひとつの成果と捉えていた。

021スーパーGT第4戦もてぎ 宮田莉朋(WedsSport ADVAN GR Supra)

「自分自身の速さも見せたかったので、何としてもファステストを更新したいと思っていましたけど、追い上げられなかったことについては、本当に悔しいです。でも、やり切った成績です」

「これまで、ずっとトップ争いをしたいと思っても、それができないシーズンが続いていました。でも、今年ようやくうまくいくようになって、富士でポールポジションが獲れました。今回も優勝できなかったですけど、最後までプッシュして2位で終えられましたし、予選でも0.05秒差まで来ることができました」

「こういった悔しいと思えるところまできているのは、チームのみなさんをはじめ、ヨコハマタイヤさん、TRDのみなさんと努力してきた結果です。この努力を忘れずに、優勝を目指して日々頑張っていきたいです。これをやり続ければ、最強と言われているライバルに勝てるときが絶対に来ると思います」

 同じく国本も「ちょっと悔しいですけど、なかなか最近は良い結果を残せていなくて、良いレースもできていないなかで、今回は流れを変える1戦になれたのかなと思います。これからが勝負だと思っています」と今後に向けて、かなり手応えを掴んだ様子だった。

 次回の鈴鹿大会ではサクセスウエイトが増えるため、WedsSport ADVAN GR Supraにとっては少し不利な展開になるかもしれない。だが、今季はもてぎ戦がもう一度、第7戦に組み込まれている。今回見せたドライバーふたりの力強い走りが今後も発揮されれば、次回のもてぎではさらなる好結果が期待できるかもしれない。

2021スーパーGT第4戦もてぎ 表彰台に登壇する国本雄資と宮田莉朋(WedsSport ADVAN GR Supra)
2021スーパーGT第4戦もてぎ TGR TEAM WedsSport BANDOH

© 株式会社三栄