コロナ経済危機 新たな受け皿へ立志 上越中小零細事業者新連盟 設立1年  政府、政治に民意直言

 上越地域の個人事業者ら有志が組織する経済団体「上越中小零細事業者新連盟」(上越零細連)の設立から1年が過ぎた。新型コロナウイルス感染症の影響による経済危機を受けて立ち上がり、中小零細事業者の新たな受け皿となって政府に民意を届けようと活動する同団体のこれまでとこれからについて、今井孝代表理事(52)らに聞いた。

同団体のこれまでとこれからを語る今井代表理事(中央)と町凌介(左)、伊東雅普両副代表理事。今後のロードマップなどを携えて

 昨年5月に設立し、独自の経済政策を取りまとめた提言を衆院新潟6区選出の国会議員(現・高鳥修一氏、自民)に届けることを当面の目標とした。

 「粗利補償」「再度の持続化給付金の支給」「雇用調整助成金の特例措置の延長・維持」「零細事業者を分断する職業差別をやめよ」「中小企業の淘汰(とうた)反対」「消費税の廃止」「社会保険料の廃止」の7項目を盛り込んだ提言をまとめ、同年11月に開いたワークショップで発表。SNS上で反響を呼び、その内容に賛同する有識者も現れた。

 同12月には高鳥氏に直接提言することがかない、今井代表理事は「一歩目を実現できた」と振り返る。面会では前向きな回答が得られたといい、その後、高鳥氏らが中央に提言した追加経済政策を踏まえ「同じ方向を向いていると思う」と話す。

「粗利補償」など7項目を盛り込んだ提言を、高鳥衆院議員に直接届けた

「応援会員」募り増強へ

 国への働き掛けはなされたが、今井代表理事は「現時点では(提言が)形になっていない」とみている。会員拡大が今まで以上に重要と考え、正会員の他に「応援会員」を募ることにした。

 応援会員は、6区在住で中小零細事業者ではないが同団体を応援したい人、6区在住ではないが同団体の活動に参加したい中小零細事業者、6区在住でなく中小零細事業者でないが同団体を応援したい人が対象。同団体ホームページから入会手続きができる。

 今井代表理事は「仲間を増やしたい。そうやって6区内外から多くの人が集まり、6区外の人がそれぞれの地元で『零細連』をつくる。そういう流れができれば」と期待する。

「経済の左」を後押し

 同団体では「政治の右左」よりも「経済の右左」に着目。政府の介入を最小限にして民間の自由競争を重んじる経済思想「新自由主義」などを経済の右、こうしたものの反対側にある「再分配重視」や「大きな政府」などを経済の左とし、「『経済の左』」を後押ししていく方針。そうした内容の講演会や、6区候補者が経済政策を語る討論会を衆院選までに行いたい考えだ。

 今井代表理事は「上越、ひいては日本の将来を見据えて、考えていただきたい。(世の中を)一緒に変えましょう」と呼び掛けている。

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