コロナ禍の若い経営者

 「こがん田舎、はよう出ていきたか」。都会への夢を抱いて川棚から上京し、東京の設計コンサル会社に就職。しかし公共事業削減という大きな時代の転換点の中でUターンし、父の建設会社で働き始めた。毎日、筋肉痛になるほどの仕事。そんな中で出合ったのが商工会青年部の活動だった-▲県内の若手経済人や後継者らの思いを聞く機会があった。長崎市で開かれた「若い経営者の主張大会」。冒頭の話は県知事賞に輝いた東彼商工会の田崎隼さん(35)▲青年部が取り組むヒーローショーが嫌で、斜に構えて見ていた田崎さんだったが、ショーを観覧する子どもたちの真剣な反応に驚き、認識を改める▲地域の中に会社があり、将来の町づくりは地域の子どもたちが担っていくことになる。いま大人がやらなければならないことは-。視野が広がっていった▲8商工会から建設業、飲食業などの従事者らが登壇。先輩や親の背中を追いかけるなどして働きながら、青年部を通じて自己を見つめ直した▲新型コロナ禍で地域の暮らしや経済は長期にわたり厳しい状況にある。けれど、若い経営者、社会人たちは戸惑いながらも未来につながるような地域貢献をしたいと願い、粘り強く行動している。それぞれの熱い思いが胸に迫り、同時にとても誇らしく感じた。(貴)

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