20歳のロバンペラが史上最年少優勝「私の記録を塗り替えたことを嬉しく思う」とラトバラ/WRCエストニア

 7月18日、WRC世界ラリー選手権第7戦エストニアの競技最終日、デイ4のSS19~24がサービスパークが置かれるエストニア第2の都市タルトゥで行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTはカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタ・ヤリスWRC)がWRC初優勝を飾った。同じくヤリスWRCを駆るチームメイトのセバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組は総合4位、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組が総合5位となった。

 16日(木)から4日間の日程で開催されてきたラリー・エストニアの最終日は、3本のグラベル(未舗装路)ステージを日中のサービスを挟まずに各2回走行するスケジュールが組まれ6本のSS、合計52.10kmで争われた。

 このラリー最終日を、総合2番手につけるライバルに対して約50秒のマージンを持って迎えたロバンペラは、無理をせず確実性の高い走りでステージを重ねたが、タイム差はさらに開き最終ステージを前に54.6秒差となった。

 初優勝が懸かった最終パワーステージでも20歳のフィンランド人は5番手タイムを記録し、ライバルとの差を59.9秒としてフィニッシュ。ボーナスポイントの1ポイントを獲得するとともにWRC初優勝を達成した。

 ロバンペラはこの勝利でシリーズ史上最年少優勝記録を更新。20歳と290日という新記録は、チーム代表のヤリ-マティ・ラトバラが2008年に打ち立てた記録、22歳と313日を塗り替えるものとなっている。また、表彰式に姿を見せた彼の父、ハリ・ロバンペラは2001年にWRCスウェディッシュ・ラリーで優勝しており、親子二代でのWRC優勝が実現した。

 今季すでに4勝を挙げドライバー選手権をリードするオジエは、チャンピオンシップ争いを考慮したクレバーな走りで1日をまとめ、総合4位でフィニッシュした。パワーステージでは3番手タイムを記録し、ボーナスの3ポイントを手にしている。
 
 そのオジエを34ポイント差のランキング2位で追いかけるのエバンスは、パワーステージ4番手となりボーナスポイントの2点を獲得しつつ、総合5位でラリーを終えた。この結果、両名のポイント差は37ポイントに広がっている。

 なお、今戦のロバンペラの勝利により、TOYOTA GAZOO Racing WRTは第3戦クロアチアから5戦連続優勝の新記録を達成することとなった。また7戦6勝と好調を維持するチームはマニュファクチャラー選手権での首位を堅守。ランキング2位のライバルとの差は前戦と変わらず59ポイントとなっている。

セバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC) 2021年WRC第7戦エストニア
WRC史上最年少優勝を達成したカッレ・ロバンペラ(右)と、コドライバーのヨンネ・ハルットゥネン(左)

■初優勝のロバンペラ「チームには本当に感謝している」

「優勝することができて本当にいい気分だ」喜びを語ったロバンペラ。

「優勝を目標に戦ってきたので、チームには本当に感謝している。一度勝つことによって重圧から解放され、気持ちも楽になるので今回の優勝は私にとって大きな助けになるはずだ」

 TOYOTA GAZOO Racing WRTのラトバラ代表は、「今日は素晴らしい1日で、いろいろな意味で記録的な勝利になった」とエストニア・ラウンドを総括した。

「優勝はどれも特別で喜ばしいものだが、今日カッレの初勝利を目にすることができたのは、私にとって大きな意味がある。彼が史上最年少でWRCウイナーとなり、私の記録を塗り替えたことを本当にうれしく思う」

「私がヘンリ・トイボネン氏の記録を更新し、それを今回カッレが更新したことで、フィンランド人の伝統が受け継がれたのだからね」

「今週末カッレは本当に素晴らしかったですし、トヨタにとって新記録となる、WRC5連勝を達成できたことも信じられないくらいうれしいよ。ここ数戦で我々が成し遂げたことはどれも素晴らしく、特別なことだ。両チャンピオンシップともまだ先は長いが、チームと選手たちを誇りに思っている」

 WRCの次戦は8月13日から15日かけて開催される第8戦ベルギーだ。ベルギー西部のイープルを中心に行われるこのラリーは、1965年に初開催された長い伝統と人気を誇るイベントだが、WRCイベントとしての開催は2021年が初めてとなる。

 路面はターマック(舗装路)で、側溝のある農道を走行する非常にトリッキーなラリーとして知られる。また、ラリーの最終日にはF1やWEC世界耐久選手権なども開催されるスパ・フランコルシャン・サーキット周辺でのステージも予定されている。

エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC) 2021年WRC第7戦エストニア
カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC) 2021年WRC第7戦エストニア
言葉を交わすヨンネ・ハルットゥネンとハリ・ロバンペラ(右)。後方ではヤリ-マティ・ラトバラ代表が涙を拭う姿も

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