「かしいかえん」の想い出を皆さんの心に刻み込んでもらいたい

福岡市民の想い出の多い場所「かしいかえんシルバニアガーデン」

「かしいかえん」と僕の縁は、2017年のリニューアルオープンの時でした。その前くらいから僕は西鉄グランドホテルの植栽をリニューアルするなど、少しずつ西鉄関連の仕事をさせてもらっていました。

その繋がりから声をかけてもらい、園内の植栽計画やランドスケープ、造作のデザインをし、チェルシーフラワーショーの庭園を模した癒しの庭園やみどりの動物園、フラワータワーなどを造らせていただきました。

僕は長崎出身ですから、「かしいかえん」に関する知識はなかったので、いろんな人の話を聞いて勉強しました。福岡の方に聞くと、「子どものころには両親や祖父母に連れられ『かしいかえん』に行くのが楽しみだった。日暮れまで一日中遊んだ。福岡市の子どもは必ず訪れるところで想い出の多い場所だ」と皆さん口を揃えて言っていました。

チューリップを1万本プレゼントなど、12月には閉園のイベントを企画

今回の閉園の知らせを聞いて、皆さんの「残念」や「寂しい」などという閉園を惜しむ声をたくさん耳にしました。その想いを聞いて僕は、最後にもう一回、12月にイベントを企画して「かしいかえん」の想い出を皆さんの心に刻み込んでもらいたいと思いました。

個人的にはチューリップを1万本プレゼントさせてもらう計画です。「たくさんの花を植えて『かしいかえん』への最後の想いを、福岡市民全体で繋げられたらいいな 」と考えていますので、是非皆さんに「かしいかえん」に足を運んでいただくことを願っています。

僕にとっても思い出の多い「かしいかえん」が今年いっぱいで閉園するというのは時代の流れで仕方ないのかもしれませんが、無くなるということではなくて新たに生まれ変わって「リスタート」するという発想をすることが大切でしょう。

「かしいかえん」の跡地は、福岡で一番美しいまちづくりを

今後、この約12ヘクタールもある「かしいかえん」の広大な敷地が、どのようなスケジュールでどのような開発が進むかは知りません。ですが、仮に住宅地や商業施設になるのであれば、花や緑がたくさんあって「福岡で一番美しく、『かしいかえん』を思い出させるようなまち」になればと願っています。

それも普通の美しさではダメで、突き抜けた花と緑で世界中から見に来ていただけるようなフラワータウンでなければいけません。例えば花が好きな人しか住めないとか、街並み協定があって玄関には必ず花が飾ってあるとか。

もっと言えば、住宅や施設など建物の計画が先にあって後に庭や緑地の計画になりますが、「先にランドスケープの計画があってそこに建物が建つ、庭の中に住宅や商業施設がある」 という日本ではあり得ないぐらいのフラワータウンを作ることにより、そこが指針になって福岡全体に伝染していく。そう考えて、僕はいろんな提案をしていこうと思っています。

子どもたちが「かしいかえん」へ行く楽しみは、ジェットコースターやメリーゴーランドなどの遊具に乗ることや、ライダーショーやプリキュアショーを見ることであって、もしかしたらお花のことなんてまったく興味ないかもしれません。でも、きっと園内を歩く中で自然と目に入ってくる花を見て、「キレイ」と感じているはずです。

PayPayドームでみんなのガーデン開催。庭づくりを体験する

話は変わりますが、福岡ソフトバンクホークスPayPayドームのみんなのガーデンで開催される「フラワーガーデンコンテスト」が今年も7月から始まりました。3回目の開催ですが、プロアマ関係なく、小学生や高校生、企業、造園家、ファミリー、アイドルなど、幅広い層で20組の方が庭づくりをしました。

7月4日に行われた表彰式に僕も出席しましたが、「とりもどせ元気」をテーマに力作ばかりで、審査に頭を悩ませました。3賞の内の一つを小学2年生の子どもたちが受賞しましたが、受賞発表をした瞬間に彼らが飛び跳ねて喜んだ姿や笑顔はとても微笑ましく感動すら覚えました。

この子らが今回の庭づくりから得た成功体験はきっと忘れないだろうし、「花もずっと好きでいてくれる」と感じたので、「子どもたちが花や緑を身近に感じたり、成功体験ができたりする場所や企画を増やさないといけない」。そう僕は強く思いました。

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