女性社長の割合、過去最高に。中小企業、同族継承が多く、大企業では未だ低水準

 日本のジェンダーギャップは先進国では最下位レベルと言われる。政府は2014年から「女性活躍」を成長戦略の中核に据え、また組織における代表者や管理職などの指導的立場に付く女性の比率を増加させる取り組みも行っている。

 7月9日、帝国データバンクが「全国女性社長分析調査(2021年)」の結果レポートを公表しているが、これによれば21年4月時点における女性社長の割合は、前年に比べ0.1ポイント増加して8.1%となり過去最高を更新した。就任経緯別では「同族承継」が50.8%で半数を占め、男性社長の39.5%を上回っており、「同族承継」が女性社長における就任経緯の中心となっているようだ。

 女性社長企業の業歴を見ると、企業が設立されてから「10年未満」が11.1%で最多、次いで「10~19年」9.5%と続き、比較的業歴が浅い企業が多い。年代構成については、「70~74歳」の15.9%が最も多くなっており、次いで「65~69 歳」の13.2%、「60~64 歳」13.1%と続いている。平均年齢は63.2歳で前年から0.2歳上昇している。女性社長の約6割が60歳以上となっており、00年代では50代の比率が高かったので、女性社長でも年々高齢化が進んでいるようだ。

 直近1年間の新任女性社長の比率を年代構成別でみると「50~54歳」が15.3%で最多、次いで「55~59歳」の14.5%など50代が全体の約3割を占めている。就任経緯では「創業者」が63.3%で最も多く、起業による社長就任のケースが多いようだ。この他、「同族承継」が23.4%と多く、「内部昇格」は5.9%と少なくなっている。

 企業規模で見ると、「1000万円未満」の割合が9.1%で最も多くなっている。「1億円以上」は2.3%のみと、女性社長の起業は中小企業がほとんどで中堅・大企業では低水準にとどまっている。業種別には、「不動産」の16.9%が最も高く32年連続でトップとなっている。次いで「サービス」の10.9%、「小売」10.7%と続いており、BtoC(個人向けサービス)業種は女性社長の割合が高い傾向がみられる。特に「サービス」は直近10年間で全業種中最も高い伸びを示している。細分類別では「保育所」が41.5%と4割超を占めトップだ。女性社長の増加は政策によるものより産業構造・市場構造の変化によるところが大きいようだ。(編集担当:久保田雄城)

帝国データバンクが「全国、女性社長、分析調査(2021年)」。21年4月時点の女性社長比率は8.1%で過去最高を記録

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