ジョン・コルトレーンのバンドでも活躍し、スピリチュアル・ジャズのゴッド・マザーとしても知られているアリス・コルトレーンによる幻の音源『キルタン ~トゥリヤ・シングス』からスペシャル・ヴィジュアライザーが公開されている。
<動画:Alice Coltrane - Kirtan: Turiya Sings (Visualizer)>
『キルタン ~トゥリヤ・シングス』は、1982年に当時の彼女のコミュニティにのみ配布されたカセット・テープ『Turiya Sings』を再ミックス・再マスタリングをしたもの。
1982年版には、ストリングスやシンセサイザーなど楽器が使用されていたが、今回リリースされるのはプロデューサーも務めたアリス・コルトレーンの息子で自身もジャズ・ミュージシャンであるラヴィ・コルトレーンの強い希望によりアリスによるヴォーカルとオルガンのみにフォーカスをした音源となる。
ラヴィは2004年に『Turiya Sings』のヴォーカルとオルガンのみのミックス・テープを発見し、かねてからこのヴァージョンでのリリースを切望していたが、マスターが見つからず断念。だが、昨年ついにトラック・マスターが発見され今回のリリースへと繋がった。
アリスは1960年代から夫であったジョン・コルトレーンと共に様々な宗教音楽の研究を進めていたが、1967年に夫を亡したことで「心」についての探求心がより強固なもとのとなり、以来、多くのスピリチュアル・ミュージックを世に送り出してきた。ハープやオルガンでのリーダー作の制作に着手し、インパルス・レコードより「ジャーニー・イン・サッチダ―ナンダ」や「プター・ジ・エル・ドード」など、傑作を多く世に残している。
しかし、1978年にインド哲学に根差した生活をはじめると、彼女自身も指導者となり、それをきっかけにレコーディングやコンサートなどの商業的な音楽活動から退くことになる。『Turiya Sings』もその期間にレコーディングされたもので、もともとは彼女がアシュラムや礼拝で使う音楽として、同じコミュニティに配布するためだけに500個ほどのカセット・テープとして制作されたものだった。
「トゥリヤ」とは彼女のアリスの宗教名“トゥリヤサンギーターナンダ”に因んだものとされ、アリスが歌声を収録したのはこのテープが初めてであった。「キルタン」とは祈りを音楽に乗せて神に届ける、いわゆる「歌うヨガ」のことを指す。
ラヴィは「このミックスを始めて聴いたとき、ここに眠らせていてはならないと思いました。母の情熱や思いをこれまでにないほど感じたのです。このハーモニーをぜひ楽しんでほしいです。」とコメントしている。
■リリース情報
アリス・コルトレーン
『キルタン ~トゥリヤ・シングス』発売中
品番:UCCI-1050[SHM-CD]
価格:¥2,860 (税込み)