【東京五輪】迷走を象徴!?〝いろいろあった〟五輪4大スポットの今

国立競技場

東京五輪の開幕(23日)が目前に迫った。緊急事態宣言下でほとんどが無観客開催という異例の大会で、これまで物議を醸した会場、関連施設は開幕直前、果たしてどうなっているのか? 選手・関係者しか利用しないため、完成から2年足らずで“五輪遺構”ともなりかけている国立競技場のほか、代々木公園、選手村、築地市場跡地という、4つのスポットを緊急取材した――。

【国立競技場】東京五輪を巡る迷走を象徴する建物といっても過言ではない。建て替えで採用されたザハ・ハディド氏のデザイン案は当初予算の倍近い2000億円を超えることが判明すると批判が殺到し、白紙撤回。プライドをズタズタにされたザハ氏は訴訟も辞さない構えだったが、2016年に急死した。

五輪招致に関わった、当時の安倍晋三首相、森喜朗組織委員会会長、猪瀬直樹都知事、竹田恒和日本オリンピック委員会(JOC会長)はいずれも失脚または退任し、大会はコロナ禍による延期・無観客化も加え、“ザハの呪い”とささやかれる。

国立競技場の建設で犠牲になったのは、隣接していた都営霞ヶ丘アパート。住民は強制退去させられ、跡地は通路や広場に。同競技場では18日、リハーサル中に女性に暴行を加えたとしてウズベキスタン国籍の男が逮捕される騒動も。これも“呪い”か。

【代々木公園】五輪期間中に開催される予定だったパブリックビューイング(PV)が中止となった。新型コロナ感染拡大防止で各自治体がPVの中止を続々と表明し、矢面に立たされた小池百合子都知事も遅ればせながら、ワクチン接種センターへの転用を決めた。

会場は園内で最も敷地が広い中央広場で、PV用に周囲は柵で覆われ、接種者しか中に入ることはできない。利用者は「ワクチン接種だけだったら、柵を取っ払って開放してくれていい。散歩コースが短くなって困っている」。他の利用者からは「若者や外国人があちこちに集団で、密になって、大騒ぎしている。PVをやっていた方がまだ管理できていたのでは」なんて声も上がる。16日には、五輪関連イベントで突如、公園内で巨大な顔面バルーンが打ち上げられ、人が殺到した。「イベントはやらないんじゃなかったのか。もうパラリンピックが終わるまで、(中央広場で)散歩はできない」と利用者はあきらめ顔だ。

【選手村】約1万8000人が大会中に暮らす晴海の選手村は入村ラッシュの真っただ中。バルコニーには各国の国旗が掲揚され、韓国が五輪憲章に反する政治的な横断幕を掲げ、撤去する騒動もあった。

選手村は五輪後、「晴海フラッグ」としてリフォームされ、分譲、賃貸される。既に約900戸は契約済み。五輪が1年延期になったことで、購入者も1年お預けを食らう見通しとなっている。

さらにここにきて滞在者のコロナ陽性者が出た。水際対策がザル状態で村内での交流も活発とあって、今後も感染者が続出するのは確実。恐れられているのは急変して死に至るケースだ。不動産業界では物件内で死者が出た場合、“事故物件”となってしまう。デベロッパー、購入者は固唾をのんで見守っている。

【築地市場跡地】選手村から都心へ入るルートに位置する築地市場は18年に閉鎖後、大会関係の車両基地に利用するため、更地となった。敷地内には選手、関係者送迎用の大型バスが整然と並んでいる。

小池氏が豊洲市場への移転を約2年延期したことで、メインルートとなる環状2号線の築地市場地下トンネルの開通は大会までに間に合わなかった。地上部分に暫定道路が造られ、周辺はいまだ工事が進む。選手村から築地市場までは関係車両以外は通行止めのため、付近の道は朝夕を中心に大渋滞だ。「築地は守る、豊洲は生かす」と話した小池氏だが、築地跡地は国際会議場、展示場の再開発案が検討されている。カジノを含む統合型リゾート(IR)への転用が容易で、横浜のIR誘致が大モメの中、五輪後に築地のIR化が進む可能性がある。

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