雷の影響で赤旗終了、3号車コルベットが僚友退けポール・トゥ・ウイン/IMSA第7戦

 7月17日(土)、アメリカ・コネチカット州のライムロック・パークでIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第7戦『ノースイースト・グランプリ』の決勝レースが行われ、コルベット・レーシングの3号車シボレー・コルベットC8.R(アントニオ・ガルシア/ジョーダン・テイラー組)が総合優勝の栄誉を得た。

 ウェザーテック・スポーツカー選手権は通常5クラスで構成されるが、レースイベントごとに参加するカテゴリーが異なる場合があり今戦もそれに該当。1周1.5マイル(約2.4km)のライムロック・パークでは例年GTカーのみのレースが行われており、今季もGTLMとGTDの2クラスのみが参加した。

 2時間40分の決勝レースに向けたグリッドの最前列には、16日(金)に行われた予選でテイラーがベストタイムを刻みポールポジションを獲得した3号車コルベットと、ウェザーテック・レーシングの79号車ポルシェ911 RSR-19が並び、この2台の後方に4号車シボレー・コルベットC8.Rがつけた。

 晴天のなか迎えた土曜の決勝では、スタート直後にトミー・ミルナー駆る4号車が79号車ポルシェを交わして2番手に浮上。コルベット勢が早々にワン・ツー体制を築く。

 2台のコルベットが1~3秒の間隔で走行するなかプライベーター・ポルシェは徐々に遅れを取り、スタートから30分経過時にはその差が約25秒に。

 しかし、クーパー・マクニールからステアリングを引き継いだマシュー・ジャミネが第2スティントで追撃を開始。一時は50秒近くあったトップとのタイム差を、スタートから1時間の段階で30秒にまで縮めてみせる。
 
 一方、テイラーがドライブする3号車とミルナーの4号車によるコルベット同士のトップ争いは、レース開始から1時間以上が経っても数秒差の戦いが続き、バックマーカーの出現によってその差が伸縮する状況が繰り返された。

 スタートから1時間20分後、79号車ポルシェが2度目のピットインを行った翌周に4号車がピットに戻りニック・タンディに交代してコースに復帰する。対する3号車は1周ピットインを遅らせ、ミルナーからガルシアにドライバーチェンジ。コース復帰後も首位の座を守った。
 
 直後、サーキット周辺エリアに雷をともなう発達した雨雲が接近してきたため、フルコース・コーションが提示される。レース開始から1時間29分、安全を確保するためレースは赤旗中断に。各車はピットレーンで待機することとなった。

ウェザーテック・レーシングの79号車ポルシェ911 RSR-19
コルベット・レーシングの4号車シボレー・コルベットC8.R
IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第7戦ライムロック・パーク GTDクラスのスタートシーン

■ふたりのドライバーがレースを戦うことなくポイントを獲得

 結局、サーキットが大雨に見舞われることはなかったものの、周辺で複数の落雷が確認されていたことからレースコントロールは24分を残してレース終了を決断。赤旗のままチェッカーフラッグが振られ3号車コルベットが今季4度目の勝利を手にした。僚友の4号車コルベットは2位、79号車ポルシェが3位となっている。

 GTDクラスでは、ロマン・デ・アンジェリスとアストンマーティン・ワークスドライバーのロス・ガンのふたりがドライブする23号車アストンマーティン・バンテージGT3(ハート・オブ・レーシングチーム)が、ピットタイミングを除いて終始レースをリード。

 デ・アンジェリスが担当した前半スティントは2番手スタートの14号車レクサスRC F GT3(バッサー・サリバン)を抑えきり、ピットストップ後のスティントではアストンマーティンを代表するドライバーが、短いピットストップで2番手に浮上してきた1号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo(ポール・ミラー・レーシング)の追撃を振り切った。14号車レクサスはクラス3位となっている。

 なお、クラス2位となった1号車ランボルギーニは、マディソン・スノーのチームメイトであるブライアン・セラーズが1度もドライブせずにレースを終えたが、不可抗力による短縮レースとなったことでIMSAはこれを不問とし、両ドライバーにポイントが与えられた。

 この裁定はクラス8位となった16号車ポルシェ911 GT3 R(ライト・モータースポーツ)のパトリック・ロングにも適用されている。

「インシデントは別として、僕はこれまで自分が参加でなかったレースをしたことがない」と語ったロング。

「残念ながら最終スティントを走ることができなかった。今週は一生懸命頑張ったし、最後のスティントがやってくることを期待していたのだけどね……」

 悪天候に祟られ消化不良に終わった第7戦ライムロック・パークを経て、2021年シーズンは終盤戦に突入。ウェザーテック・スポーツカー選手権の次戦第8戦ロード・アメリカは8月8日に開催される。2時間40分のフォーマットで争われるこのレースには全5クラスの車両が参加予定だ。

ハート・オブ・レーシングチームの23号車アストンマーティン・バンテージGT3
ポール・ミラー・レーシングの1号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo
2021年IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第7戦ノースイースト・グランプリ(ライムロック・パーク)
ライト・モータースポーツの16号車ポルシェ911 GT3 R
表彰式はプレスルーム内の一角で行われた
コルベット勢がワン・ツー・フィニッシュ。アントニオ・ガルシア/ジョーダン・テイラー組は今季4勝目を飾った

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