100メートルで行き止まり ”盲腸”のような市道、なぜできた? 国道3号迎町交差点

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国道3号と産業道路の交差点から分岐する市道(写真奥)=熊本市中央区

 熊本市中心部に近い国道3号迎町交差点は事故が多発する「魔の交差点」と呼ばれたこともある5差路。国道と市道が交わる十字路に加え、100メートルほどで行き止まる短い市道(幅員15メートル)が、随分前から“盲腸”のように付いているのを不思議に思っている人が少なくないようだ。調べると、戦後復興計画の名残だと分かった。

 同交差点は市中心部から国道3号を鹿児島方面に進んで、白川に架かる長六橋を渡ってすぐの場所。右にカーブしながら国道と市道(通称・産業道路)が交わるが、国道の直進方面に見える市道「迎町2丁目第4号線」が、行き止まりだ。

 近所の人たちによると、約60年も前から同じ状態で、1970年代ごろまでは未舗装の砂利道で、夕方になると酒を出す屋台が数軒並んでいたという。

 同市都市政策課によると、同交差点一帯を含む熊本市中心部は45年7月1日と8月10日の熊本大空襲で、市街地面積の30%が焼失。復興土地区画整理区域として終戦直後の46年、同交差点からJR南熊本駅付近まで約1・2キロをつなぐ市道整備計画が決定した。その一環として49~65年ごろにかけて、先行整備されたのが約100メートルの市道だ。

 同計画は60年代にはルートを一部変更し、さらに南へ延伸を盛りこんだが、工事は一向に進まないまま。交差点に隣接する眞法寺前住職の眞壁義海さん(81)は「住民で何で止まっているのかと市の担当部署に問い合わせても、『どうにもなりません』と言われるばかりだった」と当時を振り返る。市道の一部は、同寺の元敷地だったという。

 その後、市は都市化の進展や自家用車の普及などから、69年に都市計画を大幅に見直し、道路延伸は未完成のまま廃止した。市都市政策課は「現時点で復活する予定はない」としている。

 県内有数の交通量を誇る同交差点にちょこんと付いた延伸される予定のない市道。近所に事業所を構える男性社長(41)は「同じ交差点とは思えないほど静かですよね」と笑った。(和田毅)

迎町交差点から分岐後、わずか100メートルで住宅地に突き当たる市道=熊本市中央区
迎町交差点(中央左)から右下方向に分岐している市道